2022/05/25
奈良吉野の山で父のブルーベリー畑を守る【Deai orchaed】無農薬完熟ブルーベリー
本格的な冬を目の前に紅葉の終わりかけに奈良県は吉野の山にある果樹園Deai orchardさんのブルーベリー畑を訪問してきました!
奈良に工房を構える無添加お茶漬けを作るSu-balanceの中西さんも一緒です。
Su-balanceさんの記事はこちらをご覧ください。
https://taberutokurasuto.com/columns/report/subalance202112/店主の戸澤さんと中西さんとは近鉄奈良駅で待ち合わせ、吉野のご実家から畑までは果樹園を手伝っていてロゴのデザインなどを手がけた妹さんも一緒にご案内いただきました。
Deai orchardさんでは、通年で完熟ブルーベリージャムを、夏は無農薬・無化学肥料のブルーベリーをはじめシャインマスカットやクイーンニーナなどのぶどうを、秋には銀杏などを販売しています。
丁寧で温かみのあるパッケージで、奈良の贈り物としてもとても喜ばれる逸品です。Deai orchardさんは、私にとってはとても思い入れの強いショップさんです。
私がたべくらの出店案内に慣れてきた頃、出店についてご相談いただきました。
右も左もよく分からない中お父さんの農園を継いで、ネット販売は初めてですが私にもできるでしょうか?というようなお問い合わせです。
すごく想いのこもった言葉で綴られた文章で、この人の力になりたいと素直に応援したくなったのをよく覚えています。
奈良県は吉野の山奥で高齢の父と母が20年以上
土、水を大事に誠実に作り続けているブルーベリーの
完熟したものだけで作り続けているジャムです。
とてつもなく、手間をかけているので本当に美味しいジャムですが、近所の道の駅で売るぐらいしか手段がありませんでした。
口コミでお客さんが買ってくれるのでよく売れています。
ところが去年父が「体がきつくなってきた。」と弱音を口にしました。とても辛抱強い父の漏らした言葉に娘の私達は衝撃を受けました。
三姉妹の私達は、こんな美味しいジャムを終わらせてよいのかと話し合いました。
まだ下は2歳上は18歳の子どもをそれぞれ抱えている母の役目もある為、安易に両親を手伝うことは難しい状況です。
けれど、両親と暮らす96歳のおばあちゃん(随分色々なコトが分からなくなってきているのですが)が「美味しいなぁ。美味しいなぁ。」と朝ごはんでヨーグルトにジャムを入れて食べながらニコニコしている顔を見たりすると、やっぱり受け継いで行こう!と。私は長女で子ども達も高校生ですから、まず私が見習いでブルーベリーを育てるところから勉強しています。ジャムにする為の実は甘さがピークを迎えたものを厳選したり、父と母の長年の研究が色々あります。水も山の湧き水を使っています。
ホームページを見せて頂き、こんな気持ちでお商売されている方のお店と繋がれたらと勇み足でご連絡しております。
長々と失礼致しました。
- Deai orchardさんの初回お問い合わせより -このお問い合わせから始まり、電話連絡で何度もお話をしながらゆっくりじっくりと時間をかけてショップオープンまで一緒にやってきました。
ロゴ作りからパッケージ作りなどショップとしてのブランド作りから見守ってきたショップさんです。
見守っていただけですがいろいろとお話を聞いていたので、商品を販売できる形になったときは感動しました!Deai orchardの果樹園を継ぐ前、戸澤さんはご一家で4年間ニュージーランドに住んでいたそうです。
この話は前にもちらっと伺っていたのですが、すごく気になっていたので今回はじっくり伺ってみました!なんと、ニュージーランドは旅行で気に入って移住を決めたのだそうで、なかなかすごい数年間だったようです。笑
キャンピングカーで2週間ほどニュージランド旅行をしていた時に、子供たちを伸び伸びさせたいということから移住を決意!
旦那さんは奥様の願いをかなえるべく移住の準備に取り掛かりニュージーランドの暮らしが始まります。
と言っても、まずはキャラバンを購入して愛犬のラブラドールも一緒に南島から北島を周り、住む場所探しから始めました。
そのためお子さんたちは3〜4ヶ月学校に行っていないとか。
そして旅の途中で愛犬は老犬だったために、真っ白な砂の海岸にあるキャンプ場で生涯を閉じました。と、なんやかんやの旅路の末、ガルハーバーという港町に住むことになりました。
両隣はヨットを持っているおじいちゃんおばあちゃんで、家族でヨットで何年も世界の海を航海しながら過ごした経験などを聞き、日本ではなかなか巡り合えない経験を持つ人々との出会いは家族にとって視野を広めていくきっかけになったといいます。
そんな移住生活も息子さんが15歳の時に終焉を迎えます。
高校生になる前、戸澤さんは息子さん自身に今後どういう生き方をしたいか真剣に考えさせて希望を聞きました。
息子さんの答えは、日本の高校で勉強をしたいということで、次は帰国することとなったのでした。
戸澤さんは破天荒ながらも気風の良さというか、何でも人生を楽しんでいるようなめっちゃ(関西風)明るい人です!
それが果樹園や作るものにも表れいて、豪快だけど雑ではない、丁寧に信念やこだわりを持っているのがわかると思います。戸澤さんは三姉妹の長女で、次女の妹さんと一緒にDeai orchardを継いで頑張っています。
果樹園を案内してもらいながら、戸澤さんと次女の妹さんからお父さんへの思いも伺いました。
最初、「Deai」は出会いという意味かと思っていたのですが、戸澤さんのお父さんである出合さんの畑だからDeai(出合)orchard(果樹畑)。
でもmeetの意味の出会いの素晴らしさも感じているので、すごく良い名前だなと思います。Deai orchardさんのブルーベリー畑は代々お米を作っていた棚田です。
農薬や化学肥料を使わずに、本当に丁寧に丁寧に愛情を込めて育てました。
柿の山もあったのですが、おじいさんが年をとってもう面倒が見切れないということで一部はおじいさんとお父さんが泣く泣く切って木を植え山に戻したそうです。
その時、三姉妹は「もうお父さんにこんなさみしい思いはさせない」と強く思いました。
だから、丹精込めて育てたブルーベリー畑はやめるわけにはいかないと三姉妹の気持ちが一致して継承しています。戸澤さんの旦那さんも一緒に果樹園をやっています。
帰国後、たまたま戸澤さんのお父さんのブルーベリー畑を手伝ったことがきっかけで、植物の世界の奥深さが初体験だったようで、果樹園を始めることとなりました。
旦那さんは、ブルーベリーだけでなく無農薬のぶどうも担当して育てています。
ぶどうの販売にあたって戸澤さんのお話しを聞いていて、どうやら旦那さんはとてつもなく研究熱心な方であっという間に書棚に収まり切れない量の参考文献や関連書籍であふれかえったといいます。
すでにだれよりも知識は深く広くなっていて、そこに現場経験を積んでいる最中なんだとか。
農薬や化学肥料を使わないぶどうの栽培は本当に大変なことです。
加えて、動物たちによる被害もあるので、全く気が抜けません。
昨年は農薬・化学肥料不使用のぶどうはごくわずかしかとれなかったのですが、今後はもっと増えそうです。
今年のぶどうも楽しみですね!### 特別栽培とは
特別栽培は、農薬の散布回数や化学肥料の量が各都道府県の慣行栽培(一般的な農薬・化学肥料を使う栽培方法)の基準の半分以下の使用量で認定されます。
産地によって基準が定められているのですが、認定を受けるのも難しいのが特別栽培です。
たべるとくらすとは、基本的に生鮮品は農薬・化学肥料不使用を掲げているのですが、特別栽培以下の量の農薬・化学肥料の果物など一部は販売をしていただいています。
ぶどうは、細かく品種を分けていたり、路地とハウスで違ったり、各地域によって基準がバラバラです。
Deai orchardさんのお話を聞いて是非ぶどうも応援したいと考えたのですが、Deai orchardさんが作る品種のぶどうは奈良県では認定がありませんでした。
そこで、奈良県やその地域の指定する特別栽培のぶどうについて問い合わせて回り、結果、似たような環境の地域の基準値を参考値としています。
詳しくはDeai orchardさんのぶどうのページをご覧ください。
https://taberutokurasuto.com/shop/deaiorchard/item/210730161917006/Deai orchardさんのブルーベリージャムはとっても素敵なパッケージで、姉妹でデザインして一つ一つ丁寧に梱包されてお届けしています。
まだまだお金もかけられないので、消しゴムはんこや、手書きのものを使っているのだそう。
本当に手をかけて大切に育てた無農薬のブルーベリー、完熟具合を見極めてたっぷり甘味を蓄えた実だけを摘み取り、ジャムに仕立てます。
丁寧な仕事をするためにも、一度に作る量はとてもわずかです。
調理場からはモーツアルトのピアノ協奏曲がずっと流れています。
ブルーベリーが心地よくジャムにかわっていくような気がするとかしないとか。
戸澤さんがモーツアルトが好きなだけなんだそうですが・・・。
ジャムの原材料は完熟ブルーベリー、オーガニックの砂糖、レモン果汁のみ。
その秘密の配合は改良に改良を重ねた研究の賜物です。そんな大切に育てられたジャムは、ひとつひとつ丁寧に手作業でパッケージに包まれます。
瓶に巻かれたリボンは、奈良は吉野の山の檜と杉をカンナで引いた物です。
このカンナくずはすぐに使えるわけではなく、何度もアイロンをかけ、結ぶ時は折れないように神経を使いながら一つずつ丁寧に結びます。
箱の中の緩衝材もこのカンナくずです。
水に濡らすと木の良い香りがするので、ぜひこの香りもお楽しみください。ギフト用には奈良の1300年の伝統「吉野手漉き和紙」をのし紙にしています。
六代目 福西正行さんが江戸時代から続く技術を伝承したとても貴重な和紙です。
のし紙につける小さなあわびは、戸澤さんのお手製!
爪楊枝を使って可愛らしいあわびを器用に仕上げています。
和紙やあわびもぜひ本のしおりや絵手紙に再利用して、こちらも最後までお楽しみいただけると嬉しいです。たべくらのユーザーさんは、環境への意識が高い方が多いので、もしかしたら少し過剰梱包なのでは?と思われるかもしれません。
Deai orchardさんでもできるだけプラスチックは使わず、カンナくずも奈良の資源を再利用してます。
これだけ丁寧に梱包するのは、ブルーベリーを育てるところから手塩にかけたジャムだから、嫁に出すつもりでいるとのこと。
Deai orchardの商品は、全部がDeai orchardからお客様への贈り物、とういう気持ちで商品を皆様のもとへ送り出しています。戸澤さんからブルーベリー畑のある場所は、まるでポツンと一軒家(所さんと林修先生のテレビ番組)のような道を通りますよとよく聞いていました。
商品説明のところにもそう書いていて、どんな道だろうと気になっていたのですが、今回ついにその畑を見学させていただきました!戸澤さんのご実家がある吉野は本当に山の集落にあります。
今では限界集落となってしまったようで、ブルーベリー畑を継いだ戸澤さんが一番の若者だそう。
家までも細い道でしたが、畑への実は更に細い山道でした。
戸澤さんは運転に自信がないということで、まずは戸澤さんのご実家に行き、ここで次女の妹さんが登場!
妹さんの車に乗り換えて家の前の急な坂道をすごい速さでバックで登り、頭を進行方向に向けて出発です。話には聞いていましたが、車一台が通れるくらいの本当に細い山道で驚きました!
私は温泉や登山でよく山に行きますが、そういう道とはまた違う、落ちたらどうなるんだろうという恐怖感がありました。。笑
山道の先には戸澤さんのブルーベリー畑の他にも近所の方の野菜畑などもあるようで、この道は日常使いされているよう。
すれ違うこともありそうですが、どうやっているのか心配になりました。畑への入り口には、畑の手前には獣が入れないよう獣害対策をしています。
戸澤さんが寄せてくれて、車を止めていざ柵の中へ。
毎回この柵や網を寄せて作業の荷物を持って出入りする、なかなか大変だと思いました。Deai orchardさんのブルーベリー畑まで行く前には他の方の畑があります。
そう遠くもない距離ですが、畑のすぐ横に車をつけることができないので、収穫時期など荷物運びが大変そうでした。ブルーベリー畑も鳥獣対策の柵やネットが張り巡らされています。
山奥なので、獣害対策は本当に大変で、毎年とてつもなく悩まされるそう。
動物たちも甘くておいしいブルーベリーがそこにあるなら食べたいですよね。
収穫期は動物たちと戸澤さんの熾烈な戦いが繰り広げられています。ブルーベリー畑は斜面になっていて、日光がよく当たります。
柵を潜って畑に入るにも段差があり少し急坂になっていました。
平坦じゃないのでやはり資材を持っていたり収穫をしていたり、ここを歩き回るとけっこうな体力筋力がつきそう。
本当に大変なところで毎日作業をしているのだなと実感しました。畑に入るとき、足元気をつけてくださいね〜と声かけていただいたのですが、中西さんがは〜いと答えた瞬間、こけました。笑
すごいコントみたいな状況で、本当に中西さんは面白い!いいキャラしてます!
中西さんは、真面目で研究者のようにお茶やお茶漬けについて熱く語る人であると同時に、実は良い意味で抜けていてほんわかとしたお茶目な人です。
この出来事でもすごく良いキャラクターをしているということが良くわかりました。
Su-balance中西さんの工房を見学させていただいた記事もぜひご覧ください。
https://taberutokurasuto.com/columns/report/subalance202112/ブルーベリーの木は落葉してきているのですが、干からびた実がまだ残っていました。
戸澤さんが食べられますよ〜と言うので、中西さんと一緒に食べてみましたが…やはりちゃんと夏に訪れたいですね。笑
干からびたブルーベリーは戸澤さんのトラップでした。笑見学に行ったのは12月初めだったので、ブルーベリー畑は間も無く本格的な冬を迎えようとしていました。
まだ緑色の葉っぱの木もあるものの、ほとんどの木は紅葉して真っ赤に。
空が晴れていたこともあり、吉野の山のブルーベリーの紅葉はとてもきれいでした!ブルーベリーの木は種類や植えた時期がいろいろと異なります。
お父さんが植えた立派に育った木もあれば、最近植えたばかりで成長中の木も。
ブルーベリーは植えてから植えてから実がとれるようになるまで数年かかるので、それまで大切に育てています。畑を一周皆で歩いたのですが、最後の方で中西さんがまたやらかしてくれました。笑
木の枝が蔓のように生い茂っているところを歩いてきてしまい、うまく抜けられずバタバタしていました。
今回の畑見学は、中西さんのおかげでより楽しい畑見学になりました!戸澤さんのご実家にも再度寄って、お父さんにもお会いすることができました。
昔気質な頑固なお父さんだと伺っていましたが、素朴で人が良さそうな方です。
今でも戸澤さんたちと一緒に畑をやっています。
吉野川を眼下に見下ろす家も立派すぎてびっくりしましたが、本当にすごく素敵なご家族だなあと思います。お昼には少し遅くなってしまいましたが、戸澤さんおすすめの吉野の山のそばを食べに行きました。
日はだいぶ傾いていましたが、とても綺麗な長めの吉野川を見ながら吉野の山の観光エリアへ。行ったお蕎麦屋さんは、戸澤さんの妹さんのママ友がやっている手打ちそば「矢的庵」さんです。
吉野の山の観光地の中でも特に奥にある上千本エリアのその奥の方にあります。
世界遺産吉野山の名水と八ヶ岳産の蕎麦粉で手打ちする、吉野で有名なお店だそう!
吉野は初めて訪れたのですが、そんな良いお店で食べられるとは!手書きのメニューが味があってもうおいしそう。雰囲気ありますよね。私が頼んだのは田舎ざるそばと季節の天ぷら。
蕎麦の実の皮の黒い部分も粉にした9割蕎麦です。そしてだし巻玉子も頼んで3人で分けました。
お蕎麦屋さんのだし巻き、メニューで見たら食べたくなりますよね!
もちろん頼んで正解です。食後に蕎麦団子も食べました。
畑を見て山を見て川を見て蕎麦も食べて、吉野を堪能することができました!お支払い時、中西さんはSu-balance工房を慌てて出てきたため、ご自分の車に財布を忘れたことに気づきます。笑
ここは戸澤さんが立て替えて、中西さんはLINE Payで戸澤さんにお返ししたのでした。
山の中でもスマホ決済や送金ができる、世の中便利になりましたね。
そんな世界で、手作りで大切に物づくりをするお二人やたべるとくらすとのショップさんたち、とても素敵だなとしみじみ思います。
こんなに面白い中西さんと破天荒な戸澤さん、こんな面白い出会いで2つのショップさんの繋がりが生まれました。
中西さんは戸澤さんよりは少しビジネスとしては先輩で、とても熱心でいろいろな情報も知っているので、戸澤さんの刺激となったようです。
より面白い化学反応が起こることを期待しています!
そして帰りは吉野の山の綺麗な夕焼けを見て、(中西さんは疲れて眠っていました。。笑)冬のイルミネーションで飾られた法隆寺駅前で解散です。
柿と銀杏、ブルーベリージャムをお土産にいただきました!
戸澤さんは何かあるたびにいつも私にもジャムを送ってくださるのですが、今回もたくさん本当にありがとうございます!戸澤さんと妹さんとお父さん、中西さんのおかげで本当に今回の奈良は最高な時間となりました!
今度は夏にもお手伝いに(なるかわかりませんが)行きたいと思います。
こんな素敵なところで、破天荒な戸澤さんとそのご家族皆で愛情たっぷりに育てたブルーベリー。
もっと多くの方に知って食べていただきたいと強く思いました。
これからも進化し続けるDeai orchardさんに注目です!【Deai ochard】商品一覧はこちら