僕も農園へ来られた方には、機会があれば収穫したばかりのカカオを実際に味わっていただきます。「これがチョコレートになるんですか?」と驚かれる瞬間が、僕は好きです。
この甘いカカオパルプは、おいしいだけではありません。
収穫したカカオ豆を発酵させる際にも、とても重要な役割を担っています。パルプに含まれる糖を微生物が利用するところから発酵が始まり、時間とともに豆の色や香り、味わいが大きく変化していきます。その後、乾燥、焙煎などの工程を経て、ようやく皆さんが知っているチョコレートの香りへと近づいていきます。
つまり、チョコレートの物語は工場から始まるのではありません。
農園で一つの果実として育つところから、すでに始まっています。
OCAが「Bean to Bar」だけではなく「Farm to Bar」を大切にしている理由も、ここにあります。土をつくり、木を育て、実を収穫し、果肉の状態を見て、発酵させる。カカオを果物の段階から知っているからこそ、できることがあります。
チョコレートを食べる時に、その原点には黄色や赤に実ったカカオポッドと、驚くほど甘い白い果肉があることを、少し思い出していただけたら嬉しいです。