私たちは2018年に「自然放牧場お多福たまご」を立ち上げてから、今までずっと変わらず「放し飼い」で鶏たちを育てています。
私たちの鶏たちが暮らす鹿児島では、昔から「庭先養鶏」の文化があります。祖父母の話では、昔はどこの家でも庭先には鶏が放し飼いで自由に過ごしていたといいます。鶏たちは、日中は庭先を歩いて暮らし、夜は、家の軒下や鶏小屋で過ごします。そして、魚を炊いたものや野菜くずをあたえ、昔は貴重な栄養源だった「卵」を産み、大切に育てられてきたそうです。
来客やお祝い事があれば、有難く、そのお肉を捌き、煮込み料理や炊き込みご飯などにし、余すことなく頂いていたそうです。当時はそれが一番のごちそうだったと聞きます。
そんな話を聞きながら、始めた養鶏は自然と「放し飼い」でするようになりました。
昔は自由に動き回れた鶏たちですが、今では、放し飼い場には側面と天井部にネットを張らなくてはならない等、各自治体や家畜保健所の基準が設けられています。
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オーガニック卵を生産する農家さん、企業様が少しづつ増えてきたように思います。そのオーガニック卵の中でも”何をどのくらい食べさせているか?”疑問に思う消費者様も多いのではないでしょうか。
オーガニック卵の飼料には、大きく分けて二つあります。
一つ目は、海外からの有機認証飼料をそのまま給餌する方法。
主に中国、北米、ヨーロッパなど直接または問屋さんを通して購入するパターンです。
二つ目は、国産のオーガニックの穀物や野菜を独自にブレンドし、給餌する方法です。
鹿児島県霧島連山の麓で、採卵鶏の飼育、卵の生産販売業を営む(お多福たまご)の農場長が養鶏のテーマに掲げるのは「医食同源」。現代の飼育法とは逆行する形で、与える餌には飼料添加物を与えず、飲み水に薬や、生体への薬剤投与も行わない。日々の食べ物や、ストレスフリーな生活環境によって鶏自身の免疫力向上に繋がっている。その要因の一つが納豆菌の活用です。納豆菌を鶏の餌に活用することにより、納豆特有の香りがする熱々の発酵ご飯ができるのです。
私が卵ソムリエの資格を取得するために、問題集を解きながら勉強していた際、脳裏にずっと残っていた文言があります。
――薬剤の種類、使用量、使用期間や生産卵の取り扱いについて、獣医師の監視下に置かれ、投薬してから残留消失までに要する休薬期間が定められます――
※タマリエ検定公式テキストより一部抜粋
この「投薬してから残留消失までに要する休薬期間」というのが心に残りました。
私自身が何気なく食べていた卵。その卵を産む鶏に対して、なんらかの形で投薬をしているのだと知ったのが、この時でした。
また、卵ソムリエのテキストには、
――抗生物質や合成抗菌剤は法律の規定により、卵への残留や産卵中の鶏への使用が禁止されているため、国内で流通している卵には、これらの物質は含まれていません。――
とも明記されていました。
ここでも「産卵中の鶏」への使用が禁止されている、という点が疑問に残りました。
では、産卵前の鶏への使用は禁止されていないという事でしょうか?国内で流通している卵には、これらの物質は含まれていませんという言葉も、少し不安に思い始めました。
「海外にはスイーツを作るための卵がある」
私が養鶏を始めた頃、海外で日本大使館の皇帝料理人を務めた経歴のあるシェフに言われた言葉に衝撃を受けました。
スイーツを作るために開発された「卵」とは、どんな「卵」なんだろう。
卵ソムリエの資格を持ち、パティシエの経験がある私にとって、「スイーツのための卵」の話はとても興味をそそられるものでした。
私が養鶏を始めたとき、師匠という存在はいませんでした。
本を頼りに、すべて独学で勉強を始めましたが、飼育方法や餌の作り方、害獣対策など様々な事に悩みました。
そんな悩みの中でも、最も悩んだのが「値決め」です。
当時、私が決めた価格は、ほぼ相場に左右されないといわれる卵の約15倍。
1個150円。1パック10個入りで1,500円。
高級卵で打ち出すつもりは全くありませんでしたが、こだわりの餌のコストや、手間暇の事を考えると、どうしてもこれ以上価格を下げることは難しかったのです。
発売開始当初は、
「なんで卵がこんなに高いの?」
「他の卵と何が違うの?」
「こんな値段じゃ誰も買わないよ」と、
立ち止まってはお客様が過ぎ去っていく日々の連続でした。
当時の私は、とことんこだわる卵を作れば、きっと求めている人が購入してくれる、と思っていたので、自分の考えの甘さに愕然としました。