「…あれ?」
ブルーベリーの枝を見ていて、ふと手が止まった。
去年のまま、取り残されていた実。
すっかり色も抜けて、小さく縮んでいる。
触れてみると、やわらかさはなくて。
でも、崩れることもなく、ちゃんと形を残している。
「ドライブルーベリーみたいやな」
思わず、そんな言葉が出た。
少しだけ、かわいらしいと思ってしまう。
本来なら、収穫されて誰かに食べられていたはずの実。
それがこうして、静かに枝に残って、時間を過ごしていたのだ。
「これ見てほしいな」
そう思って、すぐに姉にLINEを送る。
写真も一緒に。
『去年の忘れ物、こんなんなってた』
少しして、返事が返ってくる。
『ほんまや、かわいいやん』
その一言で、なんだか嬉しくなる。
誰かと共有すると、こういう小さな発見も、ちゃんとした出来事になる。
顔を上げると、ふと隣の畑が目に入った。
柿の畑だ。
ついこの前まで、草が少し残っていたはずなのに。
今日は、見違えるようにきれいになっている。
地面がすっと整っていて。
余計なものがなくて、木の姿がきれいに見える。
「すごいなあ…」
思わず、声が漏れる。
「めっちゃきれいやな」
妹も同じ方を見ながら言う。
「手入れ、ちゃんとしてはるんやろな」
その場で、思わず写真を撮る。
ただ整っているだけじゃなくて。
大事にされている感じが、ちゃんと伝わってくる。
木も、土も、どこか誇らしげに見える。
「うちも、こんなんにしたいなあ」
ぽつりとつぶやく。
「できるやろ」
妹があっさりと言う。
「やるだけやで」
その言葉に、少しだけ背中を押される。
さっき見つけた、小さなドライブルーベリーも。
隣のきれいに整った畑も。
どちらも、この場所で流れている時間の一部だ。
見過ごしてしまうこともあるけれど。
ちゃんと目を向けると、いろんな表情がある。
一つひとつ、大事にしていきたいと思う。
畑には、作物だけじゃなく、こんな時間も育っている。


