家に帰ると、父が竹の杭を作っておいてあるのを目にしました。
ふと思い出したのが、家の「竹の垣根」です。
昔、ある時山のように竹が庭に積み上げられていました。
その日は朝から焚き火が始まり、火が整って来たら焚き火の上に竹を渡してクルクルと回転させながら
おじいちゃんとお父さんが満遍なく竹を炙ります。
しばらくすると、じんわりと液のようなものが出て竹が色を変えます。
その部分を布で素早くしっかりとふきあげると、深い緑の艶々の竹になります。
これをひたすら、おじいちゃんとお父さんと日が暮れるまでしました。
子供なので、ちょっとだけ手伝っただけだろうとは思うのですが、随分頑張って一緒に竹をふいていた気がします。
家の石垣の上の数百メーターの垣根をその竹で作るのです。
しかも、おじいちゃんとお父さんの手作りです。
何年も持つように、そうやって竹を火で炙るんだと言っていた気がします。
今は大工さんに作ってもらった塀になりましたが、それまでは記憶では2回、その大改修をしていたことを覚えています。
高台に建つ家なので、垣根を取るとそれは恐ろしい断崖で近づくと吸い込まれてしまいそうに思います。
スッキリ何も無い断崖に早く何でもいいから囲って欲しいと思うのと、その際側で作業をするお父さんが心配でたまらず
いてもたってもおられなかったのを覚えています。
竹の深い緑が一面にずーっと続き、出来上がった垣根は小学生の私でも「美しい」と見惚れたものです。
学校から帰り玄関へ続くまっさらの竹の垣根を見るのが嬉しくて楽しみだったことを覚えています。