カカオの未来を、地域とともに育む
OCAでは、バリア=ブンタウ省の自然と地域の力を活かしながら、オーガニックカカオ農園の拡大と安定的な運営を進めています。その中でも特に力を入れているのが、地域に根ざした「カカオの育苗」です。
以前は、他の地域で育てられた苗木を使って、3年間で230ヘクタールにまで農園を広げました。しかし今では、チャウドゥク県にあるOCAのカカオの木から採取した種を、地元の土と水で発芽・育苗し、その土地に定植するまでのすべての工程を、地域内で完結できるようになりました。
OCA工場のすぐそばでは、オーガニック農業協同組合が運営するカカオの育苗施設も稼働しています。ここでは、地域の方々の手によって一つひとつ丁寧に育てられた、2万本以上のカカオの苗木が元気に育っています。
この育苗施設から生まれた苗木は、やがてOCAのカカオ農園に定植され、数年後にはおいしいカカオの実を実らせてくれるでしょう。
さらに、OCAではこの取り組みをバリア=ブンタウ省だけにとどめず、ラムドン省ダムロン県にあるオーガニックカカオ農業協同組合へも広げています。
苗木とともに、栽培のノウハウを共有し、勉強会の開催などを通して地域間の協力も深めています。
私たちは「育苗」を、単なる苗木の生産とは捉えていません。「地域の皆さんと一緒に、未来を育てる営み」として大切にしています。種をまく手、土を整える手、水を与える手、そのすべてが地元の方々の温かい手によって行われています。
そうして育った苗木が、オーガニックカカオとなって実を結び、地域に仕事と誇りを生み出す。その先には、持続可能な産業と、やさしくめぐる循環の風景が広がっています。
OCAはこれからも、理念とビジョンを共有できる地域や人々と、パートナーシップを大切にしながら歩んでいきたいと考えています。
目指しているのは、ただのカカオづくりではありません。
「育てる」「つながる」「循環する」そのしくみを地域のなかに根づかせ、信頼できる仲間とともに、心を込めて育んでいく。
カカオの木の一本一本に想いを託して。
未来の世代にも誇れる“循環する農業”を、ここベトナム・バリア=ブンタウの地から、世界へと届けていきます。
それが、OCAの、そして私の願いです。