前職はウェブ制作の仕事をしていました。
人にも恵まれ、
忙しくも充実した日々を過ごしていました。
けれど、自然が好きで移り住んだ軽井沢で、
光の入らない室内にこもり体調を崩してまで働く自分に、
小さな違和感を覚えるようになります。
自然を感じながら体を動かし、
朝早く目覚め、夜は静かに眠る。
そんな暮らしをしたいという想いが、
少しずつ心の奥で育っていきました。
その頃、お隣の群馬県で、
国産大豆と天然にがりで豆腐を作っていた師匠と出逢います。
豆腐屋になることが夢だったわけではありませんでしたが、
大豆の香りや立ちのぼる湯気のあたたかさに触れたとき、
不思議と心が動いたのです。
「これだ!」と感じ、修業を始め、
軽井沢での開業準備も同時に進めました。
業界では毎年100件以上の豆腐店が閉店し続けていると言われています。
開店当初は心配のお声をいただくこともありました。
不安がなかったわけではありません。
それでも、全力で豆腐と向き合う時間は何より楽しく、
また、最初の直感を信じていました。
支えてくれる家族、
共に本気で取り組んでくださるスタッフさん、
畑の地主さんや足を運んでくださるお客様など、
沢山の人々のお力添えのおかげで
今日まで続けることができています。
私自身がマクロビオティックを実践していることもあり、
素材の力を信じ、余計なものを加えず、
大豆とまっすぐ向き合う姿勢を大切にしています。
つくり手の心も重要な味の一部だと感じているからこそ、
毎朝心を整え、明るい気持ちで仕込みに向かっています。