2011年3月の原発事故で那須塩原市も大きな被害を受けました。移住して間もなかった当時は自家菜園程度の本当に小さな畑をお借りして自然栽培を試み始めたばかり。
原発事故以前なら住めないとすら思われる放射能レベルの場所もある汚染されてしまった土地で身体に害のない作物は出来るの・・?悩みました。どうするのか。でも、結局はこの地に留まることにしました。理由はひとつではありませんが、事故が起こって東京に戻ってしまった方が使っていた耕作放棄地を借りうけるご縁を頂いたからです。
農業初心者には驚きの大きな畑でしたが、微生物を活かす農法に興味を持ってくれたご夫婦と私達四人でまずは微生物が棲みやすい環境作りから始めました。
2012年、出来た作物を放射能検査に。多分検出されるだろうと思っていた私達の予想は外れ、結果は不検出。
畑の師が初めて会った時からよく口にしていた言葉。
「発酵か腐敗か」「出したものが還る」「自然が先生」。
不検出だった理由がそこにありました。失望から希望に変わった瞬間です。
栃木県那珂川町で肥料や農薬、除草剤などに頼らない作物を夫婦二人で作っています。
私は30歳の時に突然アトピーになり(現在は完治)、それを機にそれまでの生活習慣を見直し、改め、そして無頓着だった身体にいれる食べ物について考えるようになりました。これが今に続く流れの大きなきっかけです。
2010年に夫の郷里に近い那須塩原へ移住後、東京に住んでいた当時はなかなか手に入れることが困難だった肥料も農薬も使わない作物を作りはじめました。もともと夫は女性服のデザイナーを本業にしていましたし、私はずっと事務職でしたから農業に関しては二人ともまったくのド素人。自分たちが食べたいものを畑から生み出したい!というその氣持ちだけが原動力でした。ご縁あって今の農法を教えてくださる方との出逢いを経て、13年間試行錯誤しながらなんとか続けて、昨年末にやっと販売できる「かたち」になったものがお米とうどんです。
お米「秋日和(あきびより)」は私達夫婦が大好きな映画監督 小津安二郎の映画タイトルです。ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、もしご興味を持ちましたら是非ネットで検索してみてください。
また、ネコを保護した事で那須移住を決めたことから、ゆきさぼ看板にはネコちゃんがどっかりと鎮座しています。(笑) 京都在住の型染め作家 関美穂子さんのデザインで、秋日和にも小津監督と撮影担当の厚田雄春氏のお二人にネコになって登場してもらいました。
販売品はまだ少量ですが、徐々に増やしていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします!
※ ゆうはるうどんは6月に収穫した小麦を現在製麺して頂いています。月内に販売予定です。