天地返し〜畝立てまで
里芋は1年以上畑を占領しますので、どんどん作物を回転させたいやり方にはデメリットになります。 反面、良いものをジックリ作り上げていこうという、やり方には、時間がかかるからこそのメリットも沢山あります。
里芋は湿布にして毒出しに使える程の素晴らしい薬膳効果に加えて、豊富な栄養素を含む滋養野菜です。 半年以上かけてジックリ生育するという事は、土壌から様々な成分を吸収しているという事です。 大きな葉っぱでの強い光合成能力や、水の他にも様々なものを吸い上げる事ができる、大量の根っこがそれを表しています。
有機物のみで時間をかけて育てた里芋は、自己免疫力も高く、病害中を寄せ付けない強い芋になりますので、農薬の必要もありません。
化学肥料を使わない事で、不自然に細胞が増殖する事も無く、ねっとりとした、食味バツグンの、旨味と栄養が凝縮した、美味しい芋に育ってくれます。
それでは、栽培方法をご紹介します。
①天地返し 冬の間に田んぼの天地返しを行います。 水田では長い時間、酸素の無い状態になります。 田んぼの下で、酸欠により元気が無くなった微生物に再び活性化してもらう作業です。 固く絞まってしまい、有機物も酸素も無くなってしまった土を持ち上げて、空気にあてます。 そうすると好気性微生物が、稲株や様々な有機物を原料にして再び元気になり、土が生き返ってきます。 昔は牛にスキを引いてもらってた作業ですが、ウチは頼れるトラクターを使い、ディスクロータリーという機械で行います。
②土作り 様々な選択肢がありますが、堆肥を入れての炭素質と微生物の補充が一般的だと思います。 昔は刈った茅などを堆肥にしていたんだとおもいますが、労力も時間も相当です。 ウチは活性炭資材であるキラエースで、良質の炭素質、腐植、微生物、全てがまかなえます。 美味しい里芋が作れる秘訣です。
③耕運 畝立て前に一度深く耕運します。 深く耕す事で、土壌の下層部まで、より多くの酸素と有機物を届けます。 微生物の活性化には有機物と酸素が必須です。 機械の無かった時代は備中クワで、土の塊を砕いていたんだと思います。 ウチのような粘土質の地域では、相当過酷な作業だと思います。 トラクターがある時代で良かった・・・。
③肥料 窒素成分が代表的な肥料成分ですが、芋は炭水化物が主成分の作物です。 過剰な窒素は病害虫を呼び寄せるだけで無く、食味も落としてしまいます。 ゴリゴリが多い里芋は化成肥料で作っている可能性が高いです。 堆肥に含まれている、わずかな量の窒素で芋類は十分です。 昔は人糞などで、良質の肥料を作っていたと思います。 ウチはキラエースに絶妙な成分比で、アミノ酸状態の窒素が入っていますので、堆肥も肥料もこれ一本です。 芋の味は窒素が少ない程よくなりますが、繊維やビタミン、ミネラル分はしっかりと用意できないと、食味や食感や何より栄養分が損なわれます。 10年近く試行錯誤を繰り返して見つけた、ちょうど良い塩梅で進めています。
④畝立て 芋の栽培は小高い形の畝が良いです。 乾きやすく、収穫性も高まります。 ですが、里芋の生育には大量の水が必要です。 根っこの活動が盛んで、かつデリケートな部分である株元は、乾いている方が良いんですが、水はたっぷり必要な里芋。 この矛盾する要素を両立する為に、高い畝で天面は常に乾かしながら、畝の下にはたっぷりの水を用意してあげます、 そして水が引いては足すを繰り返します。 こうする事で常に動きのある、生きている水を用意できます。 更にマルチで、草抑えと乾きすぎを防止しています。 こうする事で、野菜作りには不向きなウチの粘土質の土壌が、里芋栽培においては大きな追い風になります。
以上の作業を、トラクター4台を使い分けて、10a程の田んぼなら一日くらいで、一人でもイッキに終わらせる事ができます。 美味しいと指名買いをいただける事が、里芋は増えてきました。 お陰様で受注分だけで里芋が無くなってしまう状態ですが、もう少し生産量を増やして、ネット販売でもご紹介できるようにする予定です。 手間も時間もかかる無農薬栽培の里芋ですが、粘土質の土壌でも生産量が増やせるのは、機械のお陰です。 より多くの皆さんに、安心と美味しい笑顔をお届けできれば私達にとっても大きな喜びになります。 雨が降ると作業が出来なくなるので、かなり無理して頑張りまたが、時間がない時には機械が本当に助かります。