父から受け継いだ「Deai orchard」
Deai orchardは、奈良県は吉野の山奥で代々農業を営んでおりました。父と母は20年以上前、 棚田をブルーベリー園にと新たな挑戦を始めました。その果樹園の思いを受け継ぎ、私たち姉妹は初代の畑を引き継ぎ、現在は私の夫が斑鳩の地にも農園を広げ、拠点を広げています。 無農薬で作るブルーベリーと、完熟した果実だけを使った独自製法のジャムも作り続けています。
それじゃ、私たちがやるよ!
「体がきつくなってきた。」と父が弱音を口にしたのです。
数年前、それはそれは本当に働き者で辛抱強い父の漏らした言葉に娘の私達は衝撃を受けました。もう、畑を続けるのがしんどい、ブルーベリーの木も切って森に戻してしまうかと思っている、と。
父が愛情たっぷり育てたブルーベリーは、手前味噌になるのですが、本当においしいものでした。 そのブルーベリーだけを使って作るジャムは、これまた、素材はシンプルながら、とてつもなく手間をかけて作る自慢の一品でした。素直な味わいのジャムで、地元の道の駅で販売しているだけでしたが、お客さんにも喜んでいただいておりました。孫たちも大好きな味でした。
その頃の私たち姉妹は、下は2歳上は18歳の子どもをそれぞれ抱えている母の役目もある為、安易に両親を手伝うことは難しい状況でした。 でも、子供たちもこのじいじのブルーベリーや、ジャムが大好きで、それに、両親と暮らす96歳のおばあちゃん(今はもう100歳を超えましたが健在です!)、もう随分と色々なコトが分からなくなってきているのですが、「美味しいなぁ。美味しいなぁ。」と朝ごはんでヨーグルトにジャムを入れて食べながらニコニコしている顔を見たりすると、このまま森に戻すなんて。。。 「私たちが、やるよ!」 アラフォーの私たち姉妹の突然の決意に私たち自身が一番驚いたのはいうまでもありません。
奈良県吉野の山奥で果樹園を続けています
奈良県は吉野というと吉野山の桜が有名ですよね。 Deai orchardの始まりのブルーベリー畑は、山の中の細い一本道を上がっていきます。 例えると「ポツンと一軒家」でもなかなか見られない険しい地道です。 その先に初代のブルーベリー 畑があります。
山の湧き水を溜めた池にはトンボやカエルが暮らしています。 春先から夏にかけては、鶯があちこちで歌の稽古に励んでくれるのでとても賑やかです。 夏には蓮の花が池の水面一面に咲き、早朝からの収穫時期にはとても癒されます。 車も人も全く往来がないので、のんびりと時間が流れて行きます。
父と母は20年以上ここでブルーベリーを育てていました。 畑の手入れでは、ブルーベリーの樹の下の草を手で刈るので、マムシ(毒蛇)に遭遇した時は血の気が引いたと言っていました。 それでも、農薬を使わず木を労わり大事に育てることを当たり前だと考えているので、土作りや、害虫対策もとても手間がかかります。 その甲斐あって、実ったブルーベリーは本当に美味しい物でした。 (特に父のブルーベリーを育てている姿を見ていると娘の私たちより大事に育てている気もします。)
その手間暇を受け継ぎ、今は私たち姉妹が初代の畑を、夫が斑鳩の地で、精一杯心を込めて、ブルーベリーを育てています。