生産者のお便りとお知らせ

ボサボサの畑と、頼りすぎてる相棒

2026/05/06

「これは…なかなかやな」

畑に入って、思わず声が出た。

冬を越えた草が、そのまま枯れて。

あちこちで絡まるように立っている。

 

風が吹くたびに、かさかさと音を立てる。

まるで「そろそろやで」と急かされているみたいだ。

 

「手入れ、せなあかんな」

 

そう言いながらも、少しだけ気合いがいる景色だ。

きれいに整っていた時期を知っているからこそ、このボサボサ具合はなかなか堪える。

 

腰に手を当てると、いつもの重み。

道具入れが、しっかりとぶら下がっている。

 

剪定ばさみ、手袋、紐、小さなナイフ。

あれもこれもと入れているうちに、いつの間にかパンパンになってしまった。

 

「ちょっと詰めすぎちゃう?」

妹が横から覗き込む。

 

「いや、これ全部いるねん」

 

そう答えながらも、自分でも少し笑ってしまう。

 

歩き出した瞬間。

 

「…あ」

 

小さな音と一緒に、何かが落ちた。

 

「あーもう、またや」

 

しゃがんで探す。

でも、枯れた草の中に紛れると、小さいものはすぐに見えなくなる。

 

「どれ落としたん」

 

「クリップみたいなやつ」

 

「それ、見つけるん大変やで」

 

妹も一緒に探してくれる。

 

少しの間、無言で手を動かす。

草をかき分けて、土を少し払って。

 

「あった」

 

ようやく見つけて、ほっとする。

 

「よかったなあ」

 

「ほんまに」

 

小さいもの一つでも、畑の中では簡単に隠れてしまう。

広いようでいて、こういうときだけやけに手強い。

 

道具入れを軽く叩く。

 

「すまんな、ちょっと酷使しすぎやな」

 

心の中でそう言うと、なんとなく少しだけ軽くなった気がする。

 

でもきっと、またいろいろ詰め込んでしまうのだろう。

それだけ頼りにしている証拠でもある。

 

「よし、やろか」

 

気を取り直して、草に向き直る。

 

最初のひと束を引き抜くと、土の匂いがふわっと立つ。

少しずつ、景色が変わっていくはずだ。

 

大変だけど、嫌いじゃない。

こうして手を入れていく時間が、畑をまた整えてくれる。

 

畑には、作物だけじゃなく、こんな時間も育っている。

Deai orchard奈良県(果樹園)

無農薬で20年以上ブルーベリーを作り続けているDeai orchardです。そのまま食べて安心な自家栽培ブルーベリー、たっぷり贅沢に使い作ったジャムをお届けします。減農薬、無農薬のぶどう作りや無農薬の銀杏など、他にも様々な果樹を育てています。


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