無添加・無農薬などのこだわり生産者直売のオーガニックモール
2026/06/16
醤油づくりに欠かせないものがあります。それが、麹菌。大豆や小麦に働きかけながら、香りや味わいづくりを支える、目には見えない存在です。
原料については説明できる。では、麹についてはどうだろう。 どこから来て、どう育てられているのか。 自分自身が納得して説明できるものを使いたい。 そんな思いから、「天」の種麹づくりが始まりました。
「天」で使っている麹は、蔵で採取し、受け継いできた種麹です。 私はよく、野菜の自家採種に近い感覚だとお話ししています。 土地や環境に馴染んだ種を受け継いでいくように、この蔵に棲みつく菌と向き合いながら、次へつないでいく。そんな感覚です。
市販の種麹には品質が安定しているという大きな良さがあります。 多くの蔵を支えてきた技術でもあります。 そのうえで、「この蔵の菌で醤油を醸してみたい」という思いから、自分たちなりの麹との関係を深めてきました。
今でこそ形になっていますが、最初から順調だったわけではありません。 思うように麹が育たなかったこともあります。 条件が少し違うだけで、結果が変わることもありました。 だからこそ、感覚だけに頼らず、小さな実験を重ねてきました。 温度。 湿度。 栄養条件。 酸性・アルカリ性のバランス(pH)。 条件を少しずつ変えながら、菌の動きを観察していきました。 その中で、昔から伝わる麹づくりの工程である「盛り」や「切り返し」が、結果として理にかなったものだと実感するようになりました。 経験として受け継がれてきたことに、理由がある。 それは私にとって大きな発見でもありました。
自然に任せるからこそ、小さな変化を見逃さない。 感覚を信じるからこそ、きちんと確かめる。 菌が育っていく時間を見守りながら、そんな積み重ねを大切にしています。 麹菌は、およそ一週間ほどかけて育っていきます。 最後に緑色へ変わる頃、私は「花が咲いたな」と感じます。
冗談まじりに、自分のことを“令和の花咲かじいさん”と話すこともあります。 けれど実際は、菌を育てるというより、育っていくのを見守っている感覚に近いのかもしれません。 麹に花が咲くのを見守りながら、今日も蔵で「天」を仕込んでいます。
栄醤油醸造は、江戸時代、寛政7年創業の醤油醸造元です。かつて城下町として栄えたこの場所で、200年以上醤油造りを受け継いできました。昔ながらの木桶造りにこだわり、現在7代目。「丸大豆・小麦・塩」の原料を活かした天然醸造による醤油造りを今なお続けています。「天然醸造」とは、1に本醸造であること、2に酵素の添加により酵素の促進を行っていないこと、3に保存料などの食品添加物を使用していないこと、の3点を満たした醤油造りのことを言います。 長い歴史の間にお蔵に棲みついた菌の助けを借りながらじっくりと時間をかけて熟成させることで、栄醤油特有の「味」・「色」・「香り」が生みだされるのです。
栄醤油醸造
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