栄醤油醸造では、この蔵に息づく微生物の環境を
「蔵癖(くらぐせ)」と呼んでいます。
長い年月をかけて木桶や蔵に育まれた菌たちは、この蔵ならではの醤油づくりを支える存在です。
しかし自然の営みは毎年同じではなく、気温や湿度、季節の巡りによって菌の働きも少しずつ変化します。
しかし自然の営みは毎年同じとは限らず、気温や湿度、季節の巡りによって菌の働きにも少しずつ変化が生まれます。
だからこそ私たちは「自然に任せる」だけで終わらせることなく、毎年夏、菌が最も活発になる時期に温度や湿度、栄養条件を少しずつ変えながら、小さな実験と記録を積み重ねています。
過去のデータも振り返りつつ、その年の気候や環境に合った条件を検証し、菌が健やかに働ける状態を探る姿勢を続けています。
この取り組みの背景には、大学で微生物学を学んだ経験が生きています。
仮説をたてて実験を行い、出てきた結果を考察し、そして更に仮説実験結果考察を粘り強く繰り返していくという理論的な思考力が、醤油づくりにおいて「感覚だけに頼らず、条件を見極める」という姿勢に繋がりました。
私は「化学物質は入っていませんが、醤油は科学です」と言います。
自然に委ねる部分と、条件を丁寧に観察して再現性を高める部分。
その両方があってこそ発酵が安定し、品質も支えられるという考えを持っています。
感覚だけに頼らず、目に見えない変化を観察し積み重ねていくこと。
自然を相手にするからこそ、小さな違いに向き合う姿勢を何より大切にしています。