卵の殻に白い斑点が付いていることがあります。 これを僕は「星屑」と呼んでいます。 卵は生きているので呼吸をしています。 殻には小さな気孔がたくさんあり酸素を取り入れる他、水も通すような作りになっています。 当然、雑菌も入ります。 このため、殻の外側をクチクラと呼ばれる膜が覆っていて、雑菌の侵入を強力に防ぐバリアの役割をはたしています。 卵は産み落とされた瞬間は濡れています。 この濡れがクチクラで、わずか10秒ほどで急速に乾き白い斑紋として残ります。 この斑紋が特に多いものが、「星屑」のような模様になる訳です。 つまり、星屑の模様はクチクラの分泌量の多いニワトリの卵ということなので、より健康的と思えます。
このクチクラは水に溶ける性質のものです。 水で洗うとさっとなくなってしまい、卵はバリアを失うことを意味します。 ニワトリが雨のかかりにくい場所を厳選して産卵したり、雨の日に卵の上から離れないのはクチクラの溶出を防ぐためなのです。 卵を水で洗う場合、消毒して無菌状態にし、調理の瞬間まで無菌状態を維持する必要があります。 市販の卵には「たまごを水で洗わないで」と書かれているのは、バリアのない状態でそうすると殻が水と一緒に雑菌を通してしまう可能性があるためです。 ホホヱミ農園では卵の汚れをひとつずつ丁寧に手で拭き取ります。 そもそも、汚れがつかないように、産卵箱は毎朝きれいに掃除します。 卵が本来持っている高度な防御機能を信頼して大事にしています。 非効率は否めませんが、日々、卵を磨きながら静かな時間を楽しんでいます。
洗っていない卵「無洗卵」はすべてクチクラに守られています。 でももし「星屑たまご」を見つけたらそれは当たりのようなものです。 命の強さを感じていただけたらなと思っています。