カゴをひっくり返して、簡単な台をつくる。
その上に、お昼のおにぎりを並べる。
今日は三つ。
どれも、しっかり大きい。
「でかいなあ」
妹が少し笑う。
「これくらいないと、足りひんやろ」
そう言いながら、一つ手に取る。
冷たい空気の中で食べるおにぎりは、どうしてこんなにおいしいのだろう。
白いごはんの甘さが、やけにはっきりする。
二つ目に手を伸ばしかけたとき、妹が言った。
「それ、海苔ついてるやつやで」
見ると、一つだけ、きちんと海苔が巻いてある。
「ほんまや」
「たぶん、それ当たりやろ」
少しだけ迷ってから、そのおにぎりを手に取る。
かじると、中にしっかり味のついた具が入っていた。
少し豪華なやつだ。
「これ、ええやつや」
思わずそう言うと、妹が笑う。
「やっぱりな」
なんでもないおにぎりのはずなのに。
一つだけ違うと、それだけで少し嬉しくなる。
冬の畑の中で食べる、それだけで特別になる。
風は冷たいけれど、空はよく晴れている。
手はかじかんでいるのに、心はどこかゆるんでいる。
こういう時間があるから、また作業に戻れるのだと思う。
静かな畑も。
待ってくれている木も。
そして、このおにぎりも。
全部が、同じ時間の中にある。
畑には、作物だけじゃなく、こんな時間も育っている。