
シンチャオ♪
OCAのカカオパウダーが焼き菓子のしっとり感を長持ちさせ、さらにはお米までふっくら炊き上げるというのは、カカオバターの持つユニークな特性によるものだと考えられます。
他の植物性油脂とカカオバターの違い、そして焼き菓子のしっとり感の秘密
一般的な植物性油脂、例えばサラダ油やマーガリンなどと比較して、カカオバターは非常に特殊な性質を持っています。この特性が、焼き菓子のしっとり感を保つ秘密に繋がっています。 1. 独特の脂肪酸組成と結晶構造 カカオバターは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸という3つの脂肪酸が特定の割合で構成されており、非常に複雑で安定した結晶構造を持っています。これが、他の植物性油脂とは一線を画す最大の理由です。 • 多形性(Polymorphism): カカオバターには、温度によっていくつかの異なる結晶形(I型からVI型まで)が存在します。この中でもチョコレートの理想的な口どけをもたらすのがV型結晶です。この安定した結晶が、焼き菓子の中で非常に重要な役割を果たしていると考えられます。 • 融点の違い: 一般的な植物性油脂は液状であることが多いですが、カカオバターは常温では固形であり、体温に近い33~35℃で素早く溶けるという特徴があります。このシャープな融点が、口どけの良さにも繋がります。 2. 水分保持能力の向上 焼き菓子のパサつきは、主に水分の蒸発によって起こります。カカオバターが添加物を加えなくてもしっとり感を保つ理由として、以下のメカニズムが考えられます。 • 水分と油分の安定的な結合(乳化に近い効果): カカオバターの独特の結晶構造が、生地中の水分と油分をより安定的に結合させることで、水分の蒸発を抑制している可能性があります。これは一般的な乳化剤とは異なるアプローチですが、結果的に水と油の混合物を安定させるという意味で「乳化効果」と表現されているのかもしれません。生地中に微細な油滴が均一に分散することで、水分の移動が妨げられ、しっとり感が長持ちすると考えられます。 • 結晶のネットワーク形成: 焼き菓子が冷めていく過程で、カカオバターが再結晶化し、生地内部に微細なネットワークを形成する可能性があります。このネットワークが、スポンジのように水分を抱え込み、外への放出を防ぐことで、しっとり感を維持していると考えられます。 • 油脂の酸化抑制: カカオバターは酸化しにくい油脂としても知られています。油脂が酸化すると、不快な風味が発生するだけでなく、水分保持能力にも影響を与える可能性があります。酸化しにくいカカオバターは、焼き菓子の品質劣化を遅らせる一因ともなります。

炊飯時のカカオバターの効果
お米に少量のカカオバターを加えることで「よりふっくらとご飯が炊ける」という発見も、カカオバターの独特な性質が関係していると考えられます。 1. 澱粉の糊化促進と保水性の向上 お米の主成分である澱粉は、水を吸って加熱されることで糊化(α化)し、粘り気や柔らかさが出ます。 • 水分と油分の結合の促進: カカオバターの油脂成分が、お米の表面や内部の澱粉と水分の間に作用することで、より効率的かつ均一に水分が澱粉に吸収されるのを助けている可能性があります。これにより、澱粉が十分に糊化し、ふっくらとした食感が得られると考えられます。 • 水分の蒸発抑制: 炊飯中や炊飯後のご飯から水分が蒸発するのを、カカオバターの薄い油脂の膜が抑制している可能性があります。これにより、ご飯が乾燥しにくく、時間が経ってもふっくら感を保ちやすくなると考えられます。 • 粒子の滑らかさ: 油分が加わることで、炊き上がったご飯の粒同士の摩擦が減り、より滑らかでふっくらとした食感に貢献している可能性もあります。 2. 熱伝導の均一化 油脂は熱伝導率が高いため、少量のカカオバターを加えることで、お米全体に熱がより均一に伝わりやすくなる可能性も考えられます。これにより、炊きムラが減り、お米の一粒一粒が均等にふっくらと炊き上がるといった効果も期待できます。 これらの現象は、カカオバターの持つ独特の物理化学的性質、特にその脂肪酸組成と安定した結晶構造が、水と他の固形物との相互作用に良い影響を与えていることを示唆しています。まさに「天然の機能性素材」としてのカカオバターの奥深さが感じられますね。
下記のマシンを使用して、茶色のカカオマスに圧をかけて、絞っていくと、透明なカカオバターが絞り出され、白くなっていきます。