稲自身が自分の持っている生命力を最大限に活かせるように

何が何でも無農薬が良い!と声高に叫ぶ気は無いのですが、無農薬で育てる事が出来るという事は、作物の生育にあった自然な栽培が出来ているという証明にはなります。 作物自身の免疫力で虫や病気から身を守っている証で、そんな元気な作物を食べれば、私達の体にとっても良いのは明白です。 稲自身が自分の持っている生命力を最大限に発揮しているという事ですので、私達の仕事はそれを邪魔しないようにする事になります。
現在の日本の稲作は、効率が最優先で進化してきましたので、密植された稚苗作りにはじまり、ギュウギュウに詰め込んだ環境での栽培がスタンダードになっています。 お米が足りていなかった時代には理に適った方針ですが、作物に負担をかけるスタイルですので病害虫の被害は避けれません。 そこを農薬で抑え込む。 というのが既存の慣行農法です。 無農薬栽培を実現する為には、この効率を少し下げてあげる必要があります。 手間が増えて、面積効率が悪くなってしまうのですが、ありがたい事に、今は農地が余っている状況です。 無農薬栽培での稲作作りには一昔前より取り組みやすくなっています。
苗作り

三つ子の魂百までに象徴されているように、稲作も、幼少期にあたる、苗作りがとても大切になります。 時間も面積も手間もコストもかかってしまうのですが、私達は"みのる式"という、立派な苗が作れる方式を使っています。 無農薬栽培にこだわる農家さんには、昔から広く愛されてきた苗作りです。 みのる式が良いというより、苗作りにこだわっていくと、みのる式に行き着く、という感じでしょうか。 良いお米を作りたいという思いのある生産者さんを、何とか手助けしようという創業者の強い想いがヒシヒシと伝わってくる、独創的で、とても優しい稲つくりです。
無農薬無施肥の自然栽培

食への意識の高い方々が、無農薬無肥料栽培の作物を求めるようになりました。 以前は化学肥料(硝酸態窒素)の弊害が広く知れ渡るようになり、無農薬農家は有機肥料で栽培するようになり、有機農家と呼ばれていました。 そして今では有機肥料すら使わない、無農薬無施肥に関心が寄せられるようになり、それは自然栽培という形で少しずつ定着していっています。 自然栽培では肥料は使わずに、枯れ葉や刈った草、収穫の終わった作物の残さや堆肥、木や竹のチップや炭など、様々な有機物を使い、微生物を増やして作物を育てます。 色々なスタイルがある中で、私達の稲作は、緑肥といって、稲を刈り終わった後にレンゲや麦などを育てて、それを土に戻す方法をとっています。 植物の体には、植物に必要なものは全て揃っています。 植物の遺体が次の植物の糧になるのは、何億年と繰り返された自然界では当たり前のサイクルです。 作物の健全な生育に欠かせないものが、炭素質や微量要素、ミネラルなどですが、それは植物そのものの事です。 自然栽培では、目に見えない、複雑な要素をキチンと用意してあげるのが大切ですが、私達はそこを植物そのものにお願いしています。 まさに自然界でおこっている循環の形ですが、後は水さえあれば、稲は太陽の力を存分に活用して、光合成という魔法を使い、植物の遺体から増えた微生物の助けもかりて、私達人間が余計なことをしなくても、元気に育ってくれます。
一手間

これだけで充分元気に育ってくれる稲ですが、私達はさらに美味しく育ってくれる願いも込めて、もう一手間かけています。 選別ではじかれたお米が毎年ある程度でるのですが、そのお米をつかって培養液をつくります。 玄米をそのまま使い、ヌカ成分を中心にした様々な栄養素や微量要素を、微生物の力で分解、増殖させて、栽培中の水田に流し込みます。 そうする事で土中の微生物がさらに活発になり、田んぼ全体の活性化になります。 有機栽培で自主的に育った稲や水田は、自分の意思で必要なものを、選択、選別する力が備わっていきます。 私達は彼等を信頼して、大元になる有機物だけを用意しておけば、後はお任せで賢く元気に育ってくれます。 培養用の糖分も、今後は自家栽培のサトウキビに切り替えていく予定ですので、ますます高い主体性でエネルギッシュに育ってくれそうです。
本来の力を十分に発揮できるように

後は、作物自身はもちろん、土や水や、虫や天候など、様々な状況を理解しようと、目一杯観察する事が大切になります。 刻々と変わるその場、その時のサポートには慎重に集中して、稲たちが本来の魅力を十分に発揮してもらえる様に心掛けています。 私達と一緒に育ったお米が、皆さんの笑顔と元気になってくれる事を願っています。