四万十近海の新鮮な日戻りカツオ、身の引き締まった天然魚をご家庭の食卓へ 一流の鮨店にて腕を磨いた鮨職人の技術を加えてお届けいたします

中村魚市は、昭和52年創業の幡多公設地方卸売市場内の卸売業者です。 四万十近海でとれた新鮮な天然魚を使って、加工品を作り販売しています。 ただし、市場の運営者である私たちは、自分たちのために先に魚を選ぶことはできません。そこで、取引に使われなかった魚を利用しています。でも、それは決して質の悪い魚ではなく、地元でとれた新鮮で美味しい魚ばかりです。 鮮度の良いうちに板前の技術や知識経験を活かした調理方法で、誰でも美味しく簡単に食べられる商品を作っています。

メイン商品は「カツオ塩たたきスライス」や「醤油漬け」、「昆布〆」の季節ものです。 使用する魚は、土佐湾や足摺岬周辺でその日に釣られ、その日のうちに港に戻る「日戻り」のものを厳選。釣った翌日にすぐ加工し、-60℃の冷凍庫で鮮度を保っています。 また、「醤油漬け」や「昆布〆」は、江戸前鮨の職人直伝のレシピ。魚本来の旨味を引き立てるため、砂糖も添加物も一切使わず、すっきりとした味わいに仕上げています。


四万十の市場を存続させるために魚の加工販売を始めました
私たちが公設市場の大卸業者として、本格的に加工品づくりに取り組むようになったきっかけは、SAITO MEDICAL GROUPさんとの出会いでした。 このグループは、日本各地で地域医療の再生に取り組む法人で、偶然にも四万十市の病院に関わったことから、私たちとのご縁が生まれました。 近年、四万十市では人口減少の影響で魚の需要が減少し、市場の運営が厳しい状況に陥っていました。さらに高齢化も進んでおり、「この地域唯一の公設市場をなんとしても守りたい」という強い想いから、市場で売れ残ってしまった魚を有効活用できないかと考えたのです。 そうして始まったのが、刺身などの加工品の製造・販売でした。売れ残った魚といっても、四万十近海で育った魚は、波にもまれて身が締まり、とても良質。カツオやタイはもちろん、あまり知られていない魚も鮮度抜群でおいしさに自信があります。 これらの四万十の恵みを県外の方々にも味わってもらい、市場の存続につなげたい——そんな想いから加工品販売をスタートさせました。良い素材が手に入ることもあり、「きっといいものができている」と手応えを感じていました。 しかし、期待とは裏腹に売上は思うように伸びず、悩んでいた時に出会ったのが、2023年10月のSAITO MEDICAL GROUPさんだったのです。

SAITO MEDICAL GROUPさんは医療機関の運営に携わる法人でありながら、食から健康にするという「医食同源」の理念を掲げ食事業も行っています。 四万十市の病院経営に携わったことで、その事務長を通じて私たちは出会うこととなりました。 商品開発等をお手伝いしていただいているのがSAITO MEDICAL GROUP食事業部の塩野さんです。 塩野さんは板前をしていた方で、食や調理についての知識が豊富。お客様のもとへ届く時どんな状態が食べやすくて美味しいかアドバイスをいただきました。 代表の私は、高校を出てすぐにこの会社に入り現在59歳。10年前に代表に就任しました。(2023年3月現在) そんな魚市場一筋の私は、都会に送るには鮮度がよければ良い、良いものがあるから売れると考えていたのですが、塩野さんと出会うことで今まではこちら側の思いだけが強くてお客さん側の気持ちを考えていなかったことに気づきます。 心を込めて手を加えて食べる人の気持ちを考えることが大事だとよくわかりました。 塩野さんのアドバイスや技術で、魚を扱う業者としてどのように加工、保存すれば魚の味が引き出せるかを考えた商品開発を行っています。 例えば、温度変化に弱い血合い部分は通常たたきだと切り落とさないのですが、私たちのたたきは血合いを取り除きます。そして瞬間冷凍し、-60度冷凍庫で保管。 漬け醤油はそのたれの味に負けないよう、魚の味が引き立つような割合で作っています。 塩野さんの技術やアドバイスにより、お客様に喜んでいただける本当に美味しい商品を作ることができました。 今後もこのご縁や考え方を大切に商品開発を進めていきたいです。

SAITO MEDICAL GROUPさんと板前の塩野さんについて
この場はSAITO MEDICAL GROUPの塩野がお伝えさせていただきます。 私はSAITO MEDICAL GROUPの食事業本部長をしており、中村魚市さんにも板前として技術提供含め商品開発を一緒に行っております。 SAITO MEDICAL GROUPは、主に医療法人の経営に携わっている会社です。「医食同源」を理念として医療周辺事業を含めた地域の活性化に寄与できるような取り組みも行っており、四万十にもグループ病院があります。 今回の中村魚市さんとの取り組みもその考えをもとに、私の板前としての経験、技術を取り入れた形で協力しながら一緒に商品開発を進めました。 未利用魚の活用や小型の鯖を使った缶詰2種なども製造しており、四万十の魚を四万十市外、高知県外に販売することで公設市場や四万十の活性化を目指しております。

私はもともとアメリカロサンゼルスで板前として働いていました。 アメリカではMSG(グルタミン酸ナトリウム、うま味調味料)が嫌厭する傾向があります。郊外の方に住んでいたこともあり、日本のうま味調味料を使った食事は自分で調理することはもちろん、口にすることもありませんでした。 帰国してコンビニの麻婆豆腐を食べたときは、麻婆豆腐を食べているというより何か刺激物を食べているような感覚で、とても驚いたのを覚えています。 帰国してからは、東京で寿司屋を開いていました。素材をの良さが出ることを心がけ、職人として繰り返し繰り返し突き詰めていく仕事です。 そこでお客様として来ていたのがSAITO MEDICAL GROUPの代表でした。 医療は食からという目標を掲げ、いつもお店に来ると、食から健康にすること、「医食同源」を理念に地方の医療をどうにかしていきたいという思いを熱く語られる方です。 人口が多く売り上げが大きい都会の病院にかかわることは事業としては大切なことかもしれません。 しかし、SAITO MEDICAL GROUPは地方が元気でなければと考え、地方の医療を何とかしたいという思いを持って人口減少が進む田舎の医療に尽力しています。 代表は私の作る食事を大変気に入ってくださり、一緒に医療を変えていかないかと数年にもわたって熱心に口説かれました。 私も代表の想いに惹かれていたこともり、パートナーが体調を崩してしまい一度店を畳むというタイミングで、ともに歩んでいくを決意。 そして数年後、四万十の中村魚市さんと出会って今があります。

四万十市は皆が知り合いのような小さな町です。公設市場をなくしてしまうのは四万十市の大きな損失になってしまいます。 公設とはいえ市場内の業者さんが倒産してしまっては、四万十市の素晴らしい資源も行き場をなくしてしまいます。 SAITO MEDICAL GROUPが四万十市に訪れたのは偶然のことでしたが、中村魚市さんの四万十市を盛り上げたいという気持ちとSAITO MEDICAL GROUPの思いも合致し、私も一緒に良いものを作っていきたいと強く願っています。 四万十市には良いものがたくさんある、熱い思いを持つ人たちがいる、私の経験を活かしてお役に立てましたら幸いです。

四万十の美味しい魚をお届けすることで市場を存続し、地域を盛り上げていきたいです
私たちの目標は、なんと言っても四万十の公設市場として営業を存続していくことです。 そのためにまずは余った魚の活用・販売を軌道に乗せていきたいと考えています。 販売をするということは、四万十にはこんなにも良いものがあるんだということを伝えることでもあります。 水産消費量が年々減少する中、本当の魚のおいしさを知ってもらいたい。美味しい魚を手軽に食べてもらいたい。とにかく美味しいものを届けたい。 そんな思いでSAITO MEDICAL GROUPさんと一緒に、大手にはできない小さいからこそできる品質、流通が作れるのではないかと模索しています。 今はまだ始めたばかりでパッケージも素朴なものですが、ギフトにも使えるよう工夫するなど小さなことも含め試行錯誤の日々です。 公設市場の立場もあり手元に残る魚に限りはありますが、四万十周辺の限りある水産資源を無駄なく使って加工を続けていきたいと思います。 いずれはSAITO MEDICAL GROUPさんの携わる近隣病院が立ち上げる就労継続支援B型事業所と連携して作業の提供も行うことができたらと考えていただき、どんどんできることが増えていく予定です。 ゆくゆくは雇用も増やしていき、こうした他業種とのつながりを持ち、四万十の水産や農産の魅力を地域外に発信していくことで地域を盛り上げていきたいです。
