こんにちは、中村魚市です。
高知県民にとっては身近な存在の鮎。特に清流四万十川の流域の人々は、夏には鮎を中心とする鮎漁を通して自然に親しんで暮らしてきました。梅雨の時期を迎えると清らかな流れも増水し、岩を咬む激流となります。その過酷な流れを克服して成長した四万十川の鮎は、その美しい姿と肉質の締まりの良さで、「夏の清流の女王」と呼ばれることもあるそうです。
鮎の一生
鮎は「年魚」とも呼ばれるように、その寿命は一年間。
川で生まれ海で大きくなる鮭の生態と似ていますが、仲間ではないようです。
秋(10~12月)卵を産んだアユは一生を終えます。産卵された卵は2週間ほどでふ化し、赤ちゃんアユはすぐに海に下ります。
冬(12~4月)河口近くの浅い海でプランクトンを食べて過ごします。
春(3~5月)川へのぼり始め、川底の石や岩に付着した藻を食べ成長していきます。
夏(5~9月)上流域まで遡上し、体もさらに大きくなっていきます。
天然鮎と養殖鮎の違い
見た目
天然 黄色っぽい、胸びれの近くに黄色い斑点がある、ヒレが大きい、アゴが発達し角ばった顔つき
養殖 青黒い
味
天然 川底の石に付着した藻を食べており、川の豊潤な風味豊かな味がぎゅっと詰まった濃い味
養殖 配合飼料を食べているため香りも薄くなる
暴れ川と呼ばれるほど蛇行し災害も多い四万十川。その激流に揉まれ、清らかな水で育つ良質の藻をエサにし大きくなった四万十川育ちの鮎は身の締まりが良く、肉質も天下一品。
四万十川の源流域には石灰岩の山が多くあり、川の水にも石灰のアルカリ成分が含まれているそうです。鮎は弱アルカリ性の水質を好み、発育にも良い影響があるとのこと。四万十川水系で育つ鮎の美味しさの理由の一つかもしれません。