つくしが顔を出し始めると、次々に草木の変化が目に留まるようになります。
「あ!春が来た!」
・・・・。
果樹園の仕事をするようになりました私、まずはそんな心の声は発さなくなりました。
「まずい!春が来てしまったぁ~っ!」
冬の間の景色というのは、とても静かなものです。
見た目にはジッと止まっているように見えますので、
こちらも、冬の仕事は、顔が痛いくらい寒いですし畑の静かな空気感に甘んじて、
ゆっくりとしたテンポで仕事をします。
寒い畑で温かい飲み物は格別です。
ゆっくり作業をしてお茶休憩たっぷりとなります。
妹に至っては、カエルの卵なんかを毎日じっくり観察していて
そこいらの小学生より熱心です。
芽吹き始め、鶯が歌の練習を始めました。
春は日に日に何もかもが加速していくように思えます。
焦る・・・。
焦るのです!あれもこれも、春までにやりたい作業がわんさか残っているからです。
私たちがテンテコ舞いを踊っているステージの横を
静かに、いつも通りに仕事をします。
「この前に、これ。」「この次に、これ。」
それが父です。
私たちに何も言わない父の背中が更に圧をかけてきます(笑)
「余裕ある覇者の風格」を漂わせながら。
さぁて、来年の春の私たちどうなっているかしら。