
今年は、早い暑さの訪れや長く続く高温、雨の少なさや急な豪雨など、季節のリズムが大きく揺れた一年でした。
そんな中でも、畑や田んぼ、お茶畑や果樹園で、その時々にできる工夫を重ねながら実りをつないできたつくり手たちがいます。
気候の変化、鳥獣被害の有無、現地で工夫したこと、消費者のみなさんへ伝えたいこと、そして来年に向けた思い。 質問を通して、それぞれの一年を振り返っていただいています。
夏の高温と干ばつ:在来種と知恵で干上がった田んぼを救う
eminini organic farm(奈良県 / 農業)
夏の高温と雨不足で田んぼが干上がり、水を確保できない日も多かった一年でした。畦を塗り直し、土地に合う在来種を試すなど、できる工夫を積み重ねながら育てたお米です。地域の方の助けを借りて迎えた実りには、自然の変化に向き合い続ける営みの静かな重みが宿っています。
激しい気候変動への対応:素材の制約の中でも最善を尽くす惣菜づくり
金沢錦(石川県 / 惣菜製造販売)
豪雨・高温・海水温の変化など、素材の確保に大きな影響が及んだ年でした。使える原材料が限られる中でも、その時にあるものと誠実に向き合い、最善の形へ仕立てています。自然への敬意と、小さな変化に耳を澄ませる姿勢が今年の味をつくっています。
素材から感じる生態系の変化:自然のゆらぎを大切にする醸造の哲学
酢之宮醸造所(千葉県 / 醸造所)
10年以上見てきた昆虫が姿を変え、魚の漁場が移動するなど、生態系の動きに明確な変化を感じた一年。加工の手順は変わらなくても、素材の背景には確かに自然のゆらぎがあります。その気づきを大切にしながら、静かにものづくりを続けた年でした。
酷暑と鹿の食害:種の調整を続けながら季節の移ろいに向き合う
ふるば村自然農園(長野県 / 農業)
酷暑と雨不足で生育が不安定になり、種まきの時期を遅らせるなど調整が続いた一年でした。さらに夏はインゲン、冬は大根や人参が鹿に食べられる被害もあり、思うように収穫できない場面も。それでも季節の移ろいに合わせて畑と向き合い、その時期に育った野菜をできるかたちでお届けしています。
短い梅雨と酷暑:沢水頼りの田んぼを守る日々
ユキノシタサボウ(栃木県 / 農業)
短い梅雨と酷暑で沢水頼りの田んぼは水確保が難しい一年。水路の修繕や見回りを続け、地域の方にも支えられながら田んぼを守りました。自然とは本来、人も生きものも共にあるもの。そう感じながら育てたお米です。
高温と種の発芽不良:土地に合った栽培方法を模索する一年
耕人舎(熊本県 / 農業)
雨が少なく高温が続き、例年育つ品種が芽を出さなかった年でした。獣害に備えながら、土地に合う育て方を探し、少しずつ栽培方法を見直しています。同じ季節に同じものができるとは限りませんが、その年に向き合う営みを丁寧に続けています。
気候のゆらぎと向き合う茶園:毎年変わる味と香りを大切に
かおるつくば 長治園(茨城県 / 茶園)
高温が続き、お茶の木の状態にも例年とは違う変化が出た一年でした。自然の影響を受けて味や香りが毎年少しずつ変わることを受け止めながら、その年ならではの風味を大切にしています。気候のゆらぎに負けない茶園管理を模索し続ける一年でした。
早すぎる梅雨明けと水やり:お客様の声が次につながる力に
丹波篠山めぶき農房(兵庫県 / 農業)
梅雨明けが早く、暑さで苗がしおれやすく水やりに追われた年。雨不足の影響もあり収量は安定しませんでしたが、限られた実りでも楽しみにしてくれる声が励みとなっています。天候に左右されやすい中でも、来年につながる工夫を続けています。
限られた実りでも前へ:高温と水不足に追われた一年の工夫
MITSU(広島県 / 農業)
雨がほとんど降らず、高温で苗が枯れてしまったため植え直しが必要になった年でした。水を引きやすいよう畑にU字溝やホースを増やすなど、作業量の多い中でもできる工夫を続けています。収穫までの時間や手間を思うと簡単ではありませんが、それも含めて作物と向き合う営みになっています。
温暖化の影響:早まった収穫と増加した害虫への対策
女化ブルーベリーの森(茨城県 / 農業)
暑さの訪れが早く、収穫時期も例年より前倒しになった年。暖冬の影響で害虫も増え、一つずつ木の状態を見守りながら収穫を行いました。気候のゆらぎは大きいですが、お客様の言葉が次の実りを育てる力になっています。
高温による生育不安定:環境整備と鳥獣害対策で来季へ備える
八ヶ岳純ちゃんファーム(長野県 / 農業)
高温が続き、生育が不安定な作物もあった一年。今年は量が揃わず販売をお休みしましたが、鳥獣害への対策を続けながら畑を守ってきました。気候や自然は思い通りにはいきませんが、少しずつ栽培環境を整え、来季の実りへ向かっています。
複数の自然条件が重なる困難:時間のかかるパイン栽培への丁寧な取り組み
樹パイナップルファーム(沖縄県 / 農業)
寒波や大雨による水はけ不良、虫害など複数の自然条件が重なり、生育に影響が出た年でした。点在する圃場を整えながら、来季の育成に丁寧に取り組んでいます。実がなるまで時間のかかるパインだからこそ、一つ一つの作業を積み重ねています。
異常気候が常態化する中で、判断力が問われる農の現場
古都 風雅ファーム(奈良県 / 養鶏・農業)
異常気候が特別なものではなくなり、毎年何が起きるかわからない状況が続いています。栽培技術だけでなく、気象や作業全体を見渡す判断力が求められる時代となり、一農家が単独で対応する難しさも感じています。そうした中で、こだわりを持った農産物を届けられる場があることは、大きな支えとなり、日々の営みを続ける力になっています。
高い海水温の年:天然魚をめぐる環境の変化
中村魚市(高知県 / 魚市場・水産加工品製造販売)
例年より高温が続き、海水温や川の温度にもはっきりとした変化を感じた一年でした。天然魚のみで商品づくりを行っているため、漁の状況や魚価の変動に大きく左右され、仕入れの難しさも増しています。そうした環境の中でも、食べてみたいと思ってもらえるものを届けたいと考え、素材と向き合いながら次につながる商品づくりを続けています。
豪雨災害を乗り越え、温かな支援に感謝
松下蒲鉾店(熊本県 / 蒲鉾・薩摩揚げ)
夏に豪雨災害が起こり、土砂崩れが相次いで流通が一時止まる状況となりました。発送再開まで時間を要しましたが、遠方のお客様から寄せられた心配の声や「注文することで応援します」という言葉は、大きな支えになりました。自然災害は避けられない部分もありますが、現状を伝え、理解を得ながら営みを続けていくことの大切さを改めて感じた一年でした。
自然のゆらぎの中で、その年にできる形で実りを育ててきた営みに、そっと想いを寄せていただけたら嬉しいです。
土地や生きものと共に続く、各地の営みもご紹介しています。それぞれの場所で生まれた実りを、ぜひ覗いてみてください。


