
世界では「ゴミ」とされるものを、OCAは“資源”と考える
シンチャオ♪
OCA Cacao & Chocolate の農園があるベトナム・ブンタウでは、いまも多くのカカオの木が実をつけています。枝や幹に直接ぶら下がる不思議な果実、それが**カカオポッド(Cacao Pod)です。
ひとつのカカオポッドの中には、白い果肉に包まれたカカオの種が約40粒ほど入っています。一般的にチョコレートづくりに使われるのは、この果肉と種。私たちが「カカオ豆」と呼んでいるのは、実はこの種を発酵・乾燥させたものです。
けれど、ポッドの内部をよく見ると、その構造の美しさに驚かされます。厚みのある外殻の内側には、約1センチほどのやわらかな中果皮(クッション層)があり、まるで母親が子どもを包むように、繊細な果肉と種をしっかりと守っています。私はこの中果皮の存在に、自然のやさしさを感じます。
しかし残念ながら、世界のチョコレート産業では、このカカオポッドの殻は“ゴミ”として扱われるのが現実です。 多くの消費国、日本を含むでは、カカオ豆そのものにしか関心がなく、果実の外殻に目を向けることはほとんどありません。生産地でも、ポッドを割って中の種と果肉を取り出すと、外殻は廃棄されます。カカオを大量生産する地域では、豆だけを出荷し、殻を運ぶコストすら“無駄”とみなされてしまうのです。
でも、OCAは違います。 私たちは、農家さんから「果肉付きの豆」ではなく、「カカオポッドそのもの」として購入しています。 なぜなら、ポッド全体に命の循環があると信じているから。
現在、OCAではこの殻を無駄にすることなく、さまざまな形で活用しています。 乾燥させて砕いた殻は、農園の有機肥料や堆肥の材料として土へ還され、土地を豊かにします。さらに、OCAが拠点を置くチャウドゥク県の名産である山羊の飼料としても利用されています。香ばしい香りを好む山羊たちは、このカカオポッドを喜んで食べてくれます。
それでも、OCAの挑戦は止まりません。 カカオポッドの殻は、まだまだ未知の可能性を秘めています。たとえば、発酵を活かした新しい素材や、環境に優しいバイオ炭の原料としても再利用できる。捨てるのではなく、使い切る。それがOCAの信念です。
チョコレートの背景には、知られざる果実の物語があります。 美味しさの先にある“いのちの循環”を感じてもらえるように、私たちは今日もカカオのすべてと向き合っています。
