正直に言うと、以前の私は「良い魚であれば売れる」と思っていました。
長年市場にいて、魚の質には自信がありましたし、しまんとの魚の良さは食べれば伝わるはずだと考えていたんです。
ですが、塩野さんと一緒に取り組むようになって、その考えは大きく変わりました。
塩野さんが大切にしているのは、「どうすればお客様の元で一番美味しく食べられるか」という視点です。
例えば血合いの部分についてですが、これはもともと私たちも取り除いていました。
四万十の魚は全体的に味がしっかりとしていて濃いため、血合いまで含めてしまうと、どうしても味が強くなりすぎてしまい、食べづらさにつながることがあります。
だからこそ、魚そのものの美味しさをバランスよく感じていただくために、あえて血合いは外すようにしてきました。
この考え方は、塩野さんが大切にしている「素材の良さを引き立てる」という方向性とも一致しており、私たちのやり方が間違っていなかったことを改めて確認することができました。
また、漬け丼についても同じです。
一般的には甘辛いタレで魚の臭みを抑えるような商品も多い中で、あくまで魚の味を引き立てるものにするという考え方は、私たちがもともと持っていた「魚の良さを活かしたい」という想いと重なるものでした。
方向性の正しさを確認できたことに加え、そこに塩野さんの技術や視点が加わることで、商品としての完成度はさらに高まったと感じています。
加工のタイミングや冷凍方法についても細かなアドバイスをいただき、瞬間冷凍や-60度での保管といった技術を取り入れることで、解凍後の食感や味わいも大きく向上しています。
自分たちだけでは気づけなかった部分に手を入れることで、「ここまで変わるのか」と実感しています。
四万十の魚は、本来とても質が高いものです。
ただ、高知市内からも距離がある立地のため、流通の面で制約があり、四万十市外にはなかなか出回らないのが現状です。
だからこそ、この味をもっと多くの方に知っていただきたいという想いがあります。
目の前にあるこの良い魚を、きちんと美味しい形にして届けることができれば、必ず価値として伝わるはずだと感じています。
まだ試行錯誤の途中ではありますが、塩野さんの技術や考え方を取り入れながら、これからも一つひとつ丁寧に、より美味しい商品づくりを続けていきたいと思っています。