ホホヱミ農園について

山口県の西端、日本海に突き出た向津具半島で養鶏をしています

ホホヱミ農園があるのは、海に山にと自然豊かな山口県の西端にある向津具半島です。 クジラやイルカの訪れる豊かな海に囲まれているだけでなく、造林されていない古い照葉樹の森に覆われた、人口密度のかなり低い環境に農園があります。 できるだけ自然な環境を追求し、ニワトリたちの野性が発揮されるような養鶏を目指しています。 薮化した耕作放棄地を活用し、ニワトリたちは放し飼いでストレスなくのびのびと暮らしています。 食事は自然に生える草花や虫たち、足りない分は自家配合の発酵飼料を与えています。 添加物や抗生物質は一切不使用で、現在は自然栽培米を中心に地元の天然魚も活用。 水は日本名水百選の湧水を与えています。

8年前にはじまったニワトリとの付き合い

生産者として大羽数の養鶏をはじめてまだ一年経っていません。(2024年3月現在) ニワトリを飼い始めたのは8年前、都市での仕事を辞めて地方に移住し自給的な生活を始めたタイミングです。 学生の頃から山が好きで、広告代理店に勤めたものの国内外の登山・トレッキングのガイドを生業に。 都市部に住んでいましたが、子供が自然豊かな環境で育ってほしいという気持ちから地方への移住を決めました。 以来、食料(野菜や肉、調味料)や燃料など、自給の幅を広げてきましたが、自家消費を主目的としていたため、農薬や化学肥料、除草剤などは当初から使用せず、自然栽培の経験を重ねてきました。 子供が産まれたことは私にとって食材について様々なことを知る大きなきっかけです。 子供の健康のために市販の食品添加物や環境問題についての意識も高くなりました。

養鶏を始める前からニワトリを鶏舎に閉じ込めておくことを不自然に感じ、当初から柵もなしの放し飼いをしています。 ガイド業に従事したころにアフリカ各地で野生動物の生態を目にしてきた経験があります。さらに、野生動物と対峙してきた狩猟採集民の生活、サバンナで放牧民たちと家畜との深い関わりを知る機会があったことなどが、自分のニワトリとの付き合い方に大きく影響しています。

8年間放し飼いをして、自由な環境でのニワトリの行動パターンや起こりうるリスク、好み、個性など、一通りのことが分かりました。 ニワトリを増羽して卵の生産を始めた理由は、これまでの知識を活かすことができることはもちろん、我が家の卵は美味しく安心して食べられる、多くの方にも喜んでいただけると思えることにあります。 飼い方と環境の自然度の高さがニワトリの健康に現れます。ニワトリの健康はすなわち卵の本当の美味しさ、という確信があります。 私たちの卵は臭みがなく底味のあるクリアな甘みが特徴です。 卵を好まない子供が食べるようになった、というお声をいただくことが多く、健康に貢献できるという自信を持てるようになりました。

生き物と一緒に生きることの豊かさを、子どたちに向けて発信していきたい

採卵の養鶏業をはじめた大きな理由のひとつに、子供にも分かる、ということがあります。 土地を借り、整備し、鶏舎を建て、ヒヨコを育て、餌を手に入れ、ニワトリの世話をする、卵が生まれれば宣伝し、喜んでくれるお客さんを広げ、信頼に応える。 というような一連の流れを、13歳の子供と一緒に辿ってきています。 彼は鶏を心底大事にしており、多くの鶏に名前を付けて可愛がり、日々面倒をみています。 鶏舎は子供と一緒に二人三脚で建てました。リユースやリサイクルは自分のライフワークでもあり、ほとんど廃材を集めて手作りしたものです。放牧地を囲うネットは漁師の網やブイをリサイクルして作成しました。 さらに、事業で使用している車は廃油(食用の植物油)を集めてきて自ら精製したものを燃料として走っています。

ニワトリは家畜ですが、ともに生きる存在として大事に思っています。 人と自然の間に立ち、人と自然をつなぐ稀な存在です。 我が家の子供たちはニワトリから多くを学んできました。 卵の生産の延長線上に、最終的な目標として生き物を一緒に生きることの豊かさを、特に子どたちに向けて発信していきたいと思っています。