「樋桶の郷」が始まったのは2011年。
きっかけは、高齢化により耕作されなくなった田畑を、地元の人たちが活用しようと立ち上がったことでした。
その取り組みに共感し、震災を機に移住してきた方々が加わっていきました。
味噌工房を担う私もその一人で、元々は東京でVEGANカフェの料理人として働いていました。料理を通じて農家さんを訪れることは都会に暮らしていた頃にもありましたので、実際に自分が田舎に暮らす事になり、土に触れることは自然な流れでした。
東京から沖縄を経て九州へ、友人づてに「樋桶の郷」の存在を知りこの地へ移り住みました。 移住後は空き屋を改修し自身のお店もオープンしましたが、5年経った頃
生業としてお店を運営する事を見直すきっかけがあり、試行錯誤の日々が続きました。
そんな中、世の中はコロナ禍へ突入。 以前から味噌の作り手を探していた樋桶の郷に着地しました。
地元の皆さんの受け入れも温かく、主要メンバーとして加工部門を担ってきました。 「農産加工」という自分にとっては新しいフィールドでも沢山の気づきや、単にお店を運営することとは違う楽しさも感じる毎日です。
もちろん楽しい事ばかりで無く、自然そのものを相手にする仕事ですので
収穫するまでの長い道のりは本当に苦労の連続です。
雨が続いても、日照りが続いても大変。中山間地域での農業は獣害対策や急斜面の草刈りも大切な仕事で、関わる皆の協力が必要です。
手塩にかけた作物を収穫する喜びを皆で感じる事や、大地とつながり目の前に食べるものがある安心感を得る事は、お金を稼ぐコトとは全く違います。
全てを自給出来ずとも、種を蒔かねば始まりません。
農村の暮らしから学び得る事、感じる事は本当に沢山あります。
特に薪火での煮炊きは、時間に追われて過ごす日々から解放され、本当の豊かさ、温かさを感じる一つの方法かも知れません。
いつか薪火調理の体験なども地域の取り組みとして出来れば楽しいかもしれません!
味噌はもちろん、甘酒や玄米餅などの商品にも、移住者と地域の皆さんの協力と丁寧な手しごとが宿っています。杉の葉をお守りにした雲八幡宮の「無事杉るお守り」など、地域文化と結びついたユニークなアイデアも大切に、ここでしか出来ないモノを生み出していきたいですね。