防鳥ネットが経年劣化を始めていた為に起こった大捕物劇。
毎回妹から「また、鳥が入ってる!」「実が全部食べられてる!」
と、おっそろしい文面が朝送られてきます。
私は車をぶっ飛ばして、圃場へ向かいます。
圃場では、鳥に開けられたネットの穴を妹がひと穴ずつ閉じる作業をしています。
もうその作業の跡は数えきれません・・・。
「妹よ。すまん!
姉ちゃんが必ず一匹残らず焼き鳥にしてやるからな!!」
圃場のネットの中を縦横無尽に飛び回り一年手塩にかけて育てた実をビュッフェ形式で食べる憎っくき鳥。
私は、殺気と闘志を全身にまとい感覚を研ぎ澄まします。
「おった!」
妹の殺気は私のそんなものを遥かに超えています。
木に隠れて気配を消している鳥を見つけ出しては虫取り網とペットボトルで作った爆音機を叩き走ります。
私は妹の対角線に待機して逃げてきた鳥をコーナーに追い込むためスタンバイです。
ジワジワ追い込みます。
しかし、あと少しで開放してあるネットの隙間まで追い込めそうな一瞬の隙をついて逃げます。
また何十メートルもダッシュです。
鳥の軌道を目で追わないと、見失ってしまうからです。
「ムキ=========っ!!」
もう、何回鳥に弄ばれているんだ私たち姉妹は😤
ますます、殺気が増します。
「妹よ!そっちに行った!頼む」
鳥の軌道を確認した妹が全力疾走して行き、次の瞬間。
消えた。
妹が突然私の視界から消えたのです。
「え?」
何度となく鳥に全力疾走を強要されるアラフォーは盛大に足を絡ませてこけて地面に突っ伏していたのです。
もう、そこからは鳥を追うどころではありません。
笑ってしまって、私は息も吸えず呼吸困難です。
「マンガやん!」
「もー・・・・何やってるん!笑!大丈夫!笑・・!」
安否確認の言葉を発するのもやっとです。
しばらく、妹が消える瞬間をリプレイしては肩を震わせる私。
その日は妹が笑わせてくれて、殺気が出せず三匹追い出せましたが、クタクタでした。
40代で全力疾走は危険です。