瀬戸物は大事に割らないように扱うように教えられます。
食器を触る小さな子供の手には常に一定の緊張があります。
「壊れたら、元に戻らない。」
そういう事も、食事の中で食器を扱いながら知っていくのでしょう。
そんな日常で、割っても全く叱られないことがありました。
冬になると池に氷が張ります。
石ころを探しては凍った池に向かって落としてみます。
河童の心配はあるのですが、
やっぱり「氷」の魅力の前ではちっぽけなものです。
氷の厚みによって、落とした石が氷上を滑っていきます。
この場合は「氷の勝ち」です。
すぐさま、さっきより大きな石を探して池の氷に向けて落とします。
「ゴツン」と氷に刺さりました。
この場合も
「氷の勝ち」です。
すぐさま
さっきよりもうんと大きな石を探しに行きます。
毎年石を投げ込むので、近くに目ぼしい大きさの石はほとんど残っていません。
少し登った山の道まで行って脇に転がっている「いい感じの石」を
抱えられるだけ抱えて戻ります。
さあ、私と氷の決勝戦です。
今度の石は手のひらに収まらない大きさと重量感のあるエース級の石です。
さあ!
「ドブン」
「!」
大きな石が氷を破って池の中に沈みました。
「私の勝ち」です(笑)
氷割りには私なりのルールがあって、
子供で腕力もさほど無いからなのですが、「石を投げ込む」ではなく「池に石を落とす」
ことが重要でした。
割れた氷の近くには空気が入り、とても綺麗な景色になります。
今度はその空気を的にして石を落とします。
夕焼けでまで私を、氷がよく遊んでくれました。
氷の上には、いつも沢山の大小様々な石ころが転がっていました。