花火の締めくくりは線香花火。
と、決まっておりました。
この線香花火がとても難しくて、派手な花火とは一線を画しておりました。
コウゾ紙のコヨリの先を持ってろうそくに近付けるとパァッと
一瞬で火がついて真ん丸の蕾になります。
しゃがんだまんま少しろうそくから離れようと体を動かした途端に
線香花火の蕾は「ポトン」と落ちて消えてしまいます。
も一度新しい線香花火に火を付けて蕾を落とさない様に
静かに体を動かして、火花が飛び出すのを息を凝らして見つめます。
隣で小さい妹二人が、親に火を付けてもらっておとなしく線香花火を見ています。
そちらは、順調に火花が分裂して、次第に柳の様な細い火花に変わっていきます。
はたと自分の線香花火に目をやると、遠に蕾が落ちてただのコヨリを掴んでいます。
(いつの間に!!)
なかなか、線香花火を最後のひと火花まで味わうのには運と技術がいるものだと
子供心に思っておりました。
帰り道のみち草で、この花を見つけると草をかき分けてでも
摘んでいました。
豪華版「線香花火」です。
この花を一つ手に、道すがらずーっと眺めながら帰るのです。
大成功したらこんな感じになるんだ。多分・・・。
と、夏の花火を重ねながら。金木犀の空気をくぐって3km強の帰り道を帰るのでした
そろそろ、秋の彼岸花に並ぶ私のエース級の野草が色づき始めます。
ヨウシュヤマゴボウの強烈な赤紫の汁は最高級です。笑
手につくとなかなか取れませんし、服についたら母の悲鳴が・・・目に浮かびます。
けれど、その代償を払うだけの価値がある!という情熱をあの赤紫の実は抱かせてしまうのです。
潰して、容器に入れて、魔女のスープの様なものをひたすら作る・・・。
ただひたすら・・・。
随分と草花に遊んでもらって育ちました。
それにしても、汚れて帰る私が綺麗好きの母に不思議と怒られた記憶がない・・・。
寛容なところもあったのだ。
ありがとうお母さん。