
土づくり
去年からはじめた家庭菜園ならぬ家庭稲園。
自分で菜園はできても、稲作はなかなか出来ないので、とても喜んでいただけました。
沢山の人が関わってくれて、今年は更に多くの方とやっていく事に。
色んな意味で、もっともっと広まってくれたら嬉しいなーと思ってます。
さらに、神戸まで来るのが難しいけど、地元でやれる場所がありそう。という方には、ウチで作業の足掛かりを見つけてもらって、地元で実践をしてもらったりもしています。
様々な可能性を模索しながら、皆んなで楽しめたら最高ですね!
そして今の時期の田んぼは、土づくりのタイミングです。
野菜作り中心の時は、土づくりが何より大事!だとわかっていたのに、何となく稲作はそこまで力を入れなくても良い、みたいに思ってました。
もちろん大間違いで(笑)失敗の連続。
稲作も準備がめちゃくちゃ大切です(^_^;)
作物が育つ為に必要なのは、当然エネルギー源です。
循環のエリアを、田んぼの中だけに限定するなら、自然界からプラスで足されていく大きなエネルギーは、太陽と水、あとは地熱くらいでしょうか?
この自然が無償で与えてくれるエネルギーを、田んぼの中で効率よく留めて、動かしていく。
これは自然栽培の醍醐味で、とっても面白いところです。
そして土づくりは土の中の話なので、基本的には微生物の話になってきます。
自然が提供してくれるエネルギーを、どれだけ微生物達に還元して、どれだけ増えてもらえるか?
微生物の大繁栄を考えるのが私達の仕事になります(笑)
ウチの自然栽培の圃場では、冬の間はレンゲを育てる事で、田んぼの中の生き物の流れを止めないようにします。
様々な生命活動は、そのまま微生物の活動に繋がります。
田んぼの生き物達にレンゲを育ててもらう事で、全ての生命の共存共栄を促す。
これをずっと繰り返していれば、限定されたエリアでも、どんどんエネルギーは溜まっていくので、土が痩せる事はありません。
ただ作物栽培は、収穫がありますので、足されたエネルギーは収穫物として、圃場から持ち出す事になります。
ですので私達無農薬農家は、極力収穫物以外は、圃場に残すように心がけます。
ですが、レンゲのような緑肥は、収穫が必要ありません。
ですので、育った分を全部田んぼに還す事ができます。
緑肥を育てる事で、冬の間の自然界からのエネルギーの全てを、春からの稲に提供する事ができる。
これが私の考える冬の土づくりです。
そして稲は、田んぼに溜まった冬のエネルギーに加え、 夏の強力な太陽エネルギーも自分の身体に変換して、グングン成長してくれます。
こうして稲は、一年のエネルギーの結晶を、お米という、恵みの形にして、私達に提供してくれます。
何も足さなくても稲は育ってくれる。
自然界や稲には本当に感謝しかありません。
ですので、今からのレンゲ栽培は、自然栽培農家にとっては、とても大切な仕事。
先ずは前年の稲株を、トラクターを使って土の中に埋めていきます。
こうする事で、前作の稲藁や稲株が微生物のエサになります。
稲が残してくれた有機物が微生物の活動源になり土が生き返っていきます。
活動的になった田んぼで、冬の植物達が育つ準備ができていきます。
ここで私の場合は、レンゲか麦の種を撒きます。
レンゲは何年も栽培していると、落ちた種で勝手にはえて来てくれます。
しかもとても強い植物なので、ただ田んぼを平らに耕すだけでも育ってくれますが、ウチでは少しでも水捌けの良い状態にしてあげるという意味でも、なだらかな畝状にしています。
先ずはディスクロータリーという機械で、カチカチになった田んぼを、大きな畝のある形に。
これは土の表面積を増やして、太陽や空気と触れる面積を増やすという意味もあります。
そしてレンゲの種をまいて、表面を軽く耕す。
こうする事で表面の土を細かくして、レンゲが育ちやすい土の状態にする。
更に稲藁や稲株を少しでも小さくして、微生物が取り付きやすいようにする為でもあります。
後は春まで、レンゲや麦が元気に育ってくれるのを楽しみながら観察するだけです。
今日は新嘗祭。
実りの恵みへの感謝。
稲作ほどこの感謝を実感できる営みはないんじゃないでしょうか?
関わってくれている皆さんと、一緒に美味しいご飯をいただける事、本当に嬉しく思っています(^^)

