2025/07/26
鹿児島の中山間地域にある「楓のコッコふぁーむ/自然養鶏場・楓」です。
2024年10月から、鶏たちと共に新しい一歩を踏み出しました。
鶏舎は四方を森に囲まれ、夏でも涼しい風が通る、自然の恵み豊かな土地にあります。
それぞれ50〜60羽ずつを小屋ごとに区切り、鶏たちが自由に動き回れる環境で育てています。
放し飼いではありませんが、自然の光や風を感じられるよう工夫しており、冬は氷点下、夏は30度を超えることもある中で、あえて「ストレスフリー」とは謳っていません。
自然のストレスも含めて、鶏本来のあり方を大切にしています。


飼料は、鹿児島県産90%以上、国産100%のものを自家配合しています。
地元の農家さんが作るくず米や米ぬか、麦のふすま、カツオ節の出汁がらなど、副産物を活かした発酵飼料です。
「ここにある資源で、ここにしかない卵を」をコンセプトに、地域の循環を意識した飼料づくりに取り組んでいます。
抗生物質やホルモン剤、ワクチンも使用せず、健康的に育てた鶏が生む卵は、生でも臭みがなく、黄身の色も飼料により自然な変化を楽しめます。


初めての方には、ぜひそのまま生で味わっていただきたいです。
もともとは公務員として安定した生活を送っていましたが、地元が少しずつ衰退していく姿を見て、「自分にできることはないか」と考えるようになりました。
そんなとき、他県の平飼い養鶏を紹介する雑誌記事に出会い、「これだ」と心が動きました。
思い返すと、祖父の家で鶏を飼っていた記憶や、小学校時代の飼育係の経験など、鶏が身近にいた日常が自分の中に根付いていたのだと思います。
田舎だからこそできることがあると確信し、耕作放棄地を開墾して鶏舎を建てるところからスタート。
約1年かけて準備を進め、2024年10月に養鶏を開始しました。



地域の方々の理解にも恵まれ、飼料の調達では「かえるすたいる」山田さんをはじめ、多くの方に助けていただきました。
小さな鶏舎からスタートしましたが、今後は鶏の数を増やし、最大600羽ほどの飼育を目指しています。
将来的には雇用も生み出し、地方でもしっかり暮らしていけるというモデルケースになれたらと考えています。


農業では、どうしても市場に出せない副産物が出てしまいます。
傷がついていたり、形が整っていないというだけで食卓に上がることのない農産物。
しかし、そうしたものでも栄養価は変わらず、鶏たちの飼料にはぴったりです。
近所の小規模農家さんが「捨てるしかない」と言っていたクズ米も、発酵飼料に活用しています。


鶏が卵を産み、それが食卓へ届き、鶏糞は畑へと戻る。
そんな循環の中で、捨てられていたものが新たな価値として生まれ変わる仕組みを作っています。


このように、卵という身近な存在から、地域の資源を活かした循環型の暮らしが見えてきます。
人口減少や空き家、耕作放棄地など、地方には課題が山積みです。
けれど、課題があるからこそ、挑戦できることもあると感じています。
卵を通して、“田舎だからこそできること”をかたちにしていきたい。
そして、自分のように新しい一歩を踏み出す人が増えたら、もっと面白い未来が開けるかもしれません。
まずは、私にできることを丁寧に続けていくこと。
それが、地域に新たな風を吹き込むきっかけになると信じています。





鹿児島市街地から、車で30分。
棚田が広がる山あいの里に、私たちの小さな養鶏場があります。
森に囲まれた鶏舎には、風が吹き抜け、太陽の光が差し込み、季節の寒さや暑さがそのまま訪れます。
鶏たちは、そんな自然の中で、地元鹿児島の恵みを食べ、たくましく育っています。
飼料はすべて国産。そのうち約9割が鹿児島産です。
今日も、自然に耳を澄ましながら、鶏と向き合っています。

