蓮の花に気を取られていた池の夏が過ぎました。
池の蓮は、種をつけ花の頃からは想像し難い見た目に様変わりしています。
池の蓮から上へと目を移すと
かわいい真っ赤な実が鈴なりについています。
夏は白い小さな花だったのが、こんなに可愛らしい赤い実を付けています。
「まだね。」
「うん。まだなのね。」
食べ頃ではまだないのです。
私ではなく鳥たちにとって。
この赤い可愛い実は、ある日突然減り始めあっという間に一粒残らず無くなってしまいます。
最高の「食べ頃」看板が出るわけでもないのに
野菜も果実も、「その日」を完璧におさえて動物たちはこれらを満喫していきます。
味見しているわけでもないように思います。
一体どうやって食べ頃を見極めてるのだろうかと人間としてはぜひ聞かせて欲しいところです。
最近では随分見かけることが減りましたが、「トンビ」もすごいです。
10メートル以上の高さの枝から私を見ている視線に「はっ!」っと気が付いて見上げると
私の方をじっと見ているトンビと目が合います。
大きさといい、放つ雰囲気といい、肉体を襲われることはないにしろ精神的にはこの瞬間にやられてしまっています。
一瞬で人間である自分が「腑抜け」だと自覚してしまいます。
物言わぬその姿に、緊張と風格と生命がありありと感じられます。
人間は本当に進化して来ているのかなぁ。
山の動物たちと出会うたびにそんな疑問が浮かびます。