新米特集

コラム

コラム
れんげの緑肥で育てたお米をみなさまに
2023/09/13
れんげの緑肥で育てたお米をみなさまに
米作り人まつもと 代表の松本聡です。 暑過ぎた夏がようやく終わろうとしてくれているのか、台風の影響もあり少し秋らしい涼しさを感じるようになりましたね。 お陰様で当地では水不足に悩まされることもなく、猛暑にも負けることなく稲はすくすくと成長してくれました。 予定より数日早い8月23日に穂が出始めたら稲は、穂が揃い、実が入り、少しづつ頭(こうべ)を下げてきています。順調に登熟がすすめば、10月10日までに稲刈りをして、その後乾燥、調製のあと検査を受けてからの出荷となります。 これから、大型台風の到来、カメムシやウンカなどの害虫被害によりどうなるか一番心配な時節となってきます。 今年もれんげの緑肥で育った『れんげのお米』を少しでも多く皆様のお手元にお届けしたいと願いながらお米の成長を助けます。皆様、どうぞ乞うご期待!
F1(一代交配種)とは
2019/05/29
F1(一代交配種)とは
F1品種は、「メンデルの法則」で有名な「雑種強勢」の特性を生かし、優良な特性を持った親株同士を交雑させてつくられています。交雑によって生まれた一代目の子、雑種第一代(first filial generation)から「F1」と呼ばれています。 例えば、「形はきれいだけど味が今ひとつ」な母親と、「不格好だけど美味しい」父親を掛け合わせた場合、雑種強勢の法則で「形も味も良い」子供、つまりF1が誕生します。F1品種は、その一代に限って品種の特徴を持った作物を栽培でき、品質や収量、栽培容易性といった農業経営の効率化に一役買っています。しかし、そこから採種した二代目(F2)は形質を維持できないどころか不揃いなものが多くなり、品質低下することがほとんどであるため、採種した種から高い品質のものを作ることがとても困難です。したがって、F1品種を栽培し続けるということは、毎回種を購入しなければならないことになるのです。病気に強かったり味が良かったりなど、市場と生産者が求める性質を掛け合わせることができるため、F1品種の育種に拍車がかかっています。一斉に発芽して、足並みを揃えて生育し、一定量の収穫量を確保できる。 そして病虫害に強い。 そういった性質は栽培を容易にするだけでなく、労力や経済の面で農家にさまざまな恩恵をもたらします。それに加え、効果の高い化学肥料を投入して加速度的に生育させたり、より大きなものを作り出し、さらに、農薬を使用して病虫害を防除することで収穫量の増大や安定を目指します。また、大きさや形が揃って箱詰めしやすく、物流コストが下がり、値付けしやすく、取り扱いやすくて見栄えがするので、流通や小売りのみならず消費者のニーズを優先していることも特徴です。そのF1品種は、どのように育種されてきたのでしょうか? 目的とする優れた形質の作物(種)をつくるために、親株となる優良品種を選抜して交配させます。その際、自花の花粉を受粉しないように人為的に雄しべを取り除く「除雄」を施したり、花に袋掛けをするなどして他の花粉を受粉しないようにするなど、時間と労力のかかる作業です。 そこで登場したのが「雄性不稔」という性質を利用したF1です。 雄性不稔とは「花粉をつくれない」ことです。 生殖機能の不全であり、ミトコンドリア遺伝子の異常によって引き起こされるものです。 自家受粉の恐れのない雄性不稔株を母親とし、違った性質を持った別の株を父親として近くに植え、ミツバチを使って交配させることで雄性不稔のF1が誕生します。2種類の株が隣り合っていても花粉は一つだけなので、人が丁寧に交配作業を行わずとも、ミツバチが間違うことなく交配してくれます。本来は、雄性不稔株は遺伝子異常で発現したものであり、真先に自然淘汰されるものなのですが、ヒトがこの性質に着目し、作業効率向上のためにこれを利用し、除雄など人数や手間やコストのかかる作業をなくしました。ただし、雄性不稔に疑念を抱き、それに警鐘を鳴らす人も少なくありません。 そもそもミトコンドリア遺伝子は母系遺伝することがわかっています。 雄性不稔の品種だからとはいえ、子株となるF1にまで必ずしも雄性不稔が発現するわけではありません。しかし、無精子症ともいえるミトコンドリアDNAは確実に、そのF1へと遺伝しているわけです。 そのような遺伝子を持った野菜を食べ続けることによる人体への影響がないという研究結果はどこにもありません。 現在の少子化、成人男性の精子減少、アメリカで問題になっているミツバチの定期的な集団失踪など、雄性不稔F1タマネギが初めて世に出た1944年以降に起きている未解決問題が雄性不稔と無関係なのか、これからも注視していかなければなりません。
農薬とは?
2019/02/08
農薬とは?
**「病害虫や雑草との戦いは、わたしたちの祖先が農業を始めてからずっと続いています。今までに様々な防除方法が工夫されてきましたが、20世紀に入るまで決定的なものはありませんでした。農薬の登場により、わたしたちは、それまでになかった確実な防除方法を手に入れることができました。」** ~農薬工業会 PR動画「1 農薬とは/1-2 作物栽培と農薬」より~ この国の高温多湿な環境で、慣行の栽培方法においては害虫や病原菌の蔓延は死活問題です。また、雑草についてもその管理は多大な労力を要するものです。それらの防除効果を飛躍させたのが「農薬」の登場です。農薬には多くの種類があり、その用途も様々です。 農林水産省では以下のように分類しています。 なお、現在使われている農薬には生物農薬もありますが、ほとんどが化学農薬です。 (種類)      (用途) 殺虫剤      農作物を加害する有害な昆虫を防除する 殺ダニ剤     農作物を加害する有害なダニ類を防除する 殺線虫剤     根の表面や組織に寄生し加害する線虫類を防除する 殺菌剤      植物病原菌(糸状菌や細菌)の農作物を加害する有害作用から守る 除草剤      雑草類を防除する 殺虫殺菌剤    殺虫成分と殺菌成分を混合して、害虫、病原菌を同時に防除する 殺鼠剤      農作物を加害する鼠類を駆除する 植物成長調整剤  植物の生理機能を増進または抑制して、結実を増加させたり倒伏を軽減したりする 忌避剤      鳥や獣が特定の臭い、味、色を嫌うことを利用して農作物への害を防ぐ 誘引剤      主に昆虫類が特定の臭いや性フェロモンに引き寄せられる性質を利用して害虫を一定の場所に集める 展着剤      薬剤が害虫の体や作物の表面によく付着するように添加する ~農薬工業会ホームページより~ 同機関によると、作物ないし土壌に施用された農薬は、作物体内での代謝・分解・光や微生物による分解、大気中への蒸発、土壌中への浸透や流亡などによって消滅するとのことです。また、その消滅速度は、薬剤の種類や気象、土壌条件、栽培条件等の各種環境要因によって異なっているようです。厚生労働省の食品安全委員会が定める農薬の残留基準があり、人が摂取しても健康を害することがないとする量が食品ごとに設定されています(ポジティブリスト制度)。また、農薬が基準を超えて残留することのないよう農薬取締法により使用基準が設定されています。食品の輸入時には、検疫所において残留農薬の検査等を行っている、というのが一般に知られている現状です。農産物自体への残留による人体への影響だけでなく、土壌に残留したものが流亡あるいは大気中へ霧散し、短期的、長期的にどのように自然環境に影響を及ぼすのか。 関係機関は多くの試験データをもとにその安全性を主張しています。 ところが農水省は、企業の権利を守るためとし、農薬登録時に提出された生データの公開を拒んでいます。試験で用いられた農薬の純度や、検体の生体内で生成された代謝物などは公表されない(あるいはデータ化されていない)ケースがほとんどです。 毒性試験データの作成については、中立的な国内の権威ある試験機関で実施することを原則としていて、一部例外的に、国際的に権威ある機関で作成されたものの提出も認められています。 中立機関には「残留農薬研究所」(国と農薬メーカーと農業団体の出資で1970年に設立)や大学、民間の試験機関などがあります。 アメリカにおいては、1976年にIBT社(インダストリアル・バイオ・テスト社)による大規模かつ悪質なデータの捏造が問題になりましたが、日本国内でIBTデータをもとに登録された国内メーカーの農薬名は、今なお明らかにされていません。また毒性試験についても、試験に使用する農薬と市場流通するそれとの差異(純度や不純物含有量の違い)や、動物実験による種差(試験動物とヒトとの差異)におけるギャップ、個々の農薬とそれら以外の化学物質とが関連した複合毒性など、結論を出すに至らないものが少なくありません。 中には、天然由来であるとか作物に残留しないなどの理由で、農水省が試験データの提出を免除しているものもありますが、後になって発がん性を認められるに至った農薬もこれまでにありました。OECD(経済開発協力機構)が2002年に発表した耕作地面積当たりの農薬使用量を国ごとに比較したグラフを見ると、日本が1.5t/㎢のトップで、韓国1.29、オランダ0.92と続きます。対してカナダや東欧、北欧は少なく、最も少ないスウェーデンは0.06t/㎢に過ぎません。 さらにこの10年前の調査では、オランダが2.1t/㎢で1位、続いて日本1.7、フランス0.5でしたので、その後オランダが国を挙げて農薬使用量を半減させたことが窺えます。土壌においては、生産・消費・分解の役割を担うたくさんの生物が有機的に関連しつつ、ともに円滑に機能しています。そのおかげで、安定した生態系が構築されているのです。中でも、線虫・ダニ・トビムシ等の中型動物は個体数において多数を占め、主に有機物を分解して土壌を豊かなものにしています。微生物は分解産物をさらに無機態にして、植物にとっての栄養分に変化させる役割も担っています。またミミズも同様で、有機物の分解を担当するばかりではなく、その糞が土壌微生物の繁殖場となり、また土壌団粒化(土壌が排水性と保水性を併せ持つこと)を促進してより良い環境をつくり、土壌内における循環の安定を手助けしています。 このようにして土壌生態系が有機的に構築されると、ある特定の生物だけが特異的に増加することがなくなります。人間の都合で名付けられた「害虫」ばかりではなく捕食者となる「益虫」も存在し、両者の均衡が保たれやすくなります。ところが、これまでにいくつかの大学や研究機関が行った研究報告によると、除草剤の多用が原因で土壌内の生態系と物質循環が撹乱されているとの報告があります。それらの報告によると、除草剤連用区では草の量が不使用区の半分ほどで、その種類も著しく減少しています。 草種が多いことは、そこに生息する生物相を豊かにし、また草量が多いことは、有機物の土壌への環元とともに有機物を分解する生物を増やすことに繋がります。したがって、除草剤を使用し続けることで土壌内の生物が減少し、ひいては有機物の分解を担当する生き物が減ってしまうのです。報告書にはまた、除草剤を使用していない試験区の方がミミズの個体数が多かったとも書かれています。確かに除草の手間はかかりますが、除草剤を使用しなければ、多くの場合は土壌が自ずと豊かになっていくのです。 ましてや、殺菌剤や殺虫剤を併用するとなると、生物は減少しこそすれ豊かになるとは考えられません。 報告書の内容をまとめると、 除草剤不使用区は除草剤連続使用区と比較して、 **・草の種類が多い ・草の量が多い ・一年生雑草が優先的に生える(除草剤連用区では多年生*が多い) ・細菌類が多い(除草剤連用区では糸状菌が多い) ・ミミズが多い ・分解者である線虫・ダニ・トビムシ等の中型動物が多い ・土壌のpHが0.1~1.6の差で常に高い(除草剤連用区は酸性寄り)** などの違いが確認されています。 *多年生雑草 多年草とも呼びます。 タンポポやススキ、スギナのように、地上部が枯れても根が生き残って生えてくる草です。 「宿根草」とも呼ばれていて、種子繁殖をしながらも、地上部が枯れても根が生き残るため、農家にとっては悩みの種です。どちらかと言えば痩せ地に多い草です。 対して一年草はハコベやナズナ、メヒシバといった、根だけが生き残って繁殖することができない、種子繁殖の草です。春に発芽して秋に枯れる夏草と、秋に発芽して越冬する冬草に分けられます。
慣行栽培とは?
2019/02/08
慣行栽培とは?
「慣行」という言葉が表すように従来型の栽培技術です。 病虫害の駆除・防除および除草のために農薬を使用し、生育促進および収量増加のために化学合成肥料を主に使用します。日本においては戦後に普及し、戦後復興に不可欠だった食糧増産に大きく貢献しました。高度経済成長の屋台骨として当時の日本を支えた、と言い換えることができるかもしれません。現在においても、農水省の推計では99%以上の野菜と米が慣行栽培によるものです。すなわち、スーパーや八百屋に置いてある野菜、そして飲食店で使われている野菜といった国内に流通するほとんどが慣行栽培による野菜や米ということになります。栽培方法を意識することなく日常生活を送っていて口にする野菜のほぼすべてがこれに該当するとも言えます。大型の機械を導入して作業を効率化し、単一作物を大量に栽培することもその特徴のひとつです。昨今ではIT技術の導入が積極的に行われ、GPS技術やドローンを駆使した作業のオートメーション化が推進されています。今後はAI技術が積極的に導入されていくと思われます。上記の「効率化」「単一化」「大量生産」に加え、慣行栽培の最たる特徴として「農薬」「化学肥料」の使用があります。 詳しくは以下のページにて。 ・農薬とは? >> ・化学肥料と有機肥料の違い >>
化学肥料と有機肥料の違い
2019/02/08
化学肥料と有機肥料の違い
慣行栽培において主に使用されている化学肥料は、有機栽培で用いられる「有機質肥料」に対して「無機質肥料」とも言います。無機質の成分からできている肥料で、硫酸アンモニウム、過リン酸石灰、塩化カリウムなどの化学肥料と草木灰などがそれに当たります。 植物が吸収できる無機質の状態であるため、施肥後すぐに肥効が表れる傾向にあり、「即効性肥料」と呼ばれるものが多いです。原料となるのは天然ガスや石油などのエネルギー資源、リン鉱石や塩化加里といった鉱物が主で、その大半を輸入に頼っています。有機栽培では、主に有機質肥料を使用します。 有機質成分からなる肥料で、肥料効果だけでなく土壌改良の効果があります。一部例外はありますが、ほとんどの場合は有機物を土壌に投入後、微生物による分解を経て植物が取り込める状態の肥料成分になります(無機化)。元肥として土壌にすき込む場合は、施肥後に一定期間をおいてから作付けすることになります。土壌中に施肥後間もない期間は、微生物が有機物の分解のために窒素分を取り込み、作物の生育に不可欠な窒素が欠乏する傾向にあります。 また、栽培期間中に生育を助長するために施肥する「追肥」にも使用されますが、肥効が表れるまでに時間を要するため、タイミングが重要になります。 このように肥効が表れるまでに時間がかかる肥料のことを「暖効性肥料」とも呼んでいます。ちょっと難しい表現ですが、学術的に言えば有機とは「炭素原子を構造の基本骨格に持つ化合物の総称」であり、無機とは「炭素を含まない化合物」となります。大雑把に違いを述べると、 ​ **無機肥料 → エネルギー資源、鉱物が原料の化学合成物質 有機肥料 → 生物(動植物)由来** ​ ということになります。
種について
2019/02/08
種について
植物という命が芽生え結実し、それが食卓を彩り、わたしたちの身体を形づくります。家畜の餌も植物ですので、肉も種子の恩恵と言えるでしょう。現代社会においては、田畑からの恩恵でほとんどすべての食物が形成されているのです。そもそも植物は、野菜やお米としてわたしたちの舌を喜ばせ、胃袋を満たすために存在しているわけではありません。ヒトを含めた動物のすべてがそうであるのと同様に、その生存の目的は「命をつなぐこと」に他ならないのです。 悲観的な見方をすれば、野菜や穀物は「生きるため」というヒトの都合で種を蒔かれ、収穫量を確保したり嗜好面の需要を満たすために発展した技術によって育種・栽培され、その挙句、命をつなぐことも叶わずにその生を終えます。 わたしたちにできることは、感謝とともに命をいただき、それを無駄にしないということ。そして、できるならば栽培者自らが、彼らに代わって命をつなぐ役割を担うことに他ならないのです。野菜や穀物は原種に近ければ近いほど栽培が難しく、収量が多くありません。それを先人たちが品種改良を重ね、食味を向上させたり病気に強いものにするために交配を行ってました。 キャベツを例にとると、形が異なるもの(丸いものや楕円形のものなど)が存在し、甘みが強いものや苦いものなど味の違いもあります。また、まわりが病気にかかり弱っていく中でも生き生きとしている生命力の強いものがあったり、虫に喰われにくいものがあったりもします。そんな中からニーズを満たすものを選抜して掛け合わせ、より良い特徴を持った子孫を人為的に作るのが交配技術です。また食味は、栽培する地域や土壌や気候によっても異なります。そのため、同品種を栽培しても地域によって(あるいは圃場によって)生育や食味が違っているのです。土着の種(在来種)の存在も、本来は環境的な要因で発生したものなのです。 その成り立ちや性質の違いから、大きく分けて2タイプの種子があります。 **・F1(一代交配種)** F1品種は、「メンデルの法則」で有名な「雑種強勢」の特性を生かし、優良な特性を持った親株同士を交雑させてつくられています。 [F1品種について詳しくはこちら >>](https://taberutokurasuto.com/columns/column/19052911082/) **・固定種(在来種・エアルーム種)** 幾世代にもわたり種を採り続け、その度に選抜・淘汰し、遺伝的に形質が安定した品種のことです。自家採種した種から同様の形質を持つ植物を育てることが可能です。 [固定種について詳しくはこちら >>](https://taberutokurasuto.com/columns/agriculture/19020807074/)この2タイプ以外にも「遺伝子組み換え種子(GM種子)」があり、こちらは世間の注目を集めています。 GM種子は、バイオテクノロジーによって生み出された、生産性と病虫害および雑草の防除を兼ね揃えて品種改良された品種です。 中でも有名なのが、除草剤への耐性を備えた大豆が有名です。 遺伝子操作によってその薬剤に対する抵抗力を作物に持たせてあり、作物が育っている畑に農薬を全面散布すると、雑草を枯らして作物だけが生き残るという仕組みです。他にも、遺伝子操作によって「殺虫性」を発揮する(虫に対する毒性物質を持たせている)ものもあります。 近年では、消費ニーズを反映させた遺伝子組み換えが行われている傾向があるようです。また、目的(耐除草剤や殺虫性)以外の遺伝子を発現させてしまう可能性があるため、想定外の有害物質を作り出す危険性があると言われています。 GM種子を生産する企業各社は自家採種を厳しく禁じていて、外国では訴訟問題が深刻なものになっているようです。各社は種の特許を取得していることが多く、訴訟になると企業側に有利になることが多いのです。 ちなみに現在、日本において遺伝子組み換え作物の栽培が禁止されているわけではありませんが、商業的な栽培は行われていないため、今のところ国産の野菜・穀物のほとんどは遺伝子組み換えではないと言えますが、輸入によって既に流通しています。特に大豆やコーンを原料とする食用油や醤油などはその割合が高く、表示義務のないものもあります。 種苗法の改正によって自家採種の禁止が危ぶまれる声が多く聞かれました。 一部誤解からの危惧も中にはあったにせよ、今後への警鐘として、政治情勢をしっかりと見極めていく必要があります。それ次第では、本当に自家採種が禁じられる日が来るかもしれません。
自然栽培(自然農法・自然農)とは?
2019/02/08
自然栽培(自然農法・自然農)とは?
自然そのものが相手であるため、その多くは栽培技術が確立されている訳でも、完結したメソッドが存在する訳でもありません。基本的には農薬や肥料を使わず、できるだけ燃料を必要とする機械を使わずに 「自然にまかせて」 「自然の力で」 「自然を模した環境で」 栽培する漠然とした枠組みです。栽培する上での「自然」の定義づけがそれぞれの農法あるいは農家で異なります。また、農家によって、地域や圃場によってその方法はさまざまです。農法で判断するのではなく、ある程度農業や野菜に関する知識を持ち、農家とのコミュニケーションや信頼関係を築くことが重要です。「わら一本の革命」で有名な福岡正信氏や宗教家の岡田茂吉氏などが提唱しています。福岡正信氏は、哲学的な書籍は多く残されていますが、栽培技術がしっかりと伝わっているわけではありません。不耕起(耕さない)、無肥料、無農薬、無除草を基本とし、いろいろな種を泥団子の中に入れて蒔く「粘土団子」が有名です。哲学的で難解ではありますが、世界中で支持を得ています。 岡田茂吉氏は「世界救世教」教祖としての宗教家の一面が有名ですが、「MOA自然農法」を提唱した人物です。基本的に耕すことをせず、野菜残渣などから成る植物性堆肥の活用は奨めています。「MOA自然農法」では、栽培方法だけでなく流通や環境への配慮までがある程度規定されています。川口由一氏が実践し、彼の弟子によって広がりを見せている栽培方法です。 「耕さず、肥料・農薬を用いず、草や虫を敵としない」が原則で、人が余計なことをせずに自然にまかせつつ、持続可能な農のあり方を追求するものです。無農薬はもちろん、不耕起と無施肥が基本ですが、原則に囚われすぎず、できるだけ足し算をせず、状況に応じて補い(刈り草の上から米ぬかを少量撒くなど)をすることを許容しています。野菜の生育を阻害している草を地際(成長点あたり)で刈り、あたかもそこで生を全うしたようにその場に横たえます。そうして草や残渣が発酵・分解されながら堆積していく層「亡骸の層」がグラウンドカバーとなって土壌が日光や風雨に直接晒されることで起きる乾燥や浸食を防ぎ、微生物や小動物の生態系の場となります。畑の中に、森の土壌と同じように自ら循環する環境を作り上げる栽培方法とも言えます。無農薬・無肥料を基本に栽培することを指します。 「自然栽培全国普及会」という団体が、加盟農家向けに自然栽培とはいかなるものであるかを詳しく規定しています。「MOA自然農法」と同じく、団体が考える「自然栽培」の規定を明文化しています。土壌に残留する肥料や農薬を不純物「肥毒」と称し、それを除去することを奨めています。また、「慣行栽培」「有機栽培」にカテゴライズされない、農薬と肥料に頼らずに栽培を実践している農家も「自然栽培を実践」と自ら称していることがあります。「有機栽培」と違って法律で言葉の使用が制限されているわけではなく、「自然栽培」という言葉自体に既成の定義がないため、無農薬・無肥料(もしくは化学肥料不使用)にこだわる栽培者が、自らの栽培法を表現する言葉にもなっています。
有機栽培、無農薬栽培、自然栽培(自然農法・自然農)の違い
2019/02/08
有機栽培、無農薬栽培、自然栽培(自然農法・自然農)の違い
**有機栽培** **オーガニック** **無農薬栽培** **化学肥料不使用** **自然栽培** などなど、これらはスーパーや直売所、ネット通販などでよく見かける表示です。どの言葉も何となく「身体に良さそう」とか「安心で安全そう」といった好印象を与えていますが、実際はどうなのでしょうか? まずは、それぞれの言葉について見ていきましょう。基本的には農薬や化学肥料を使用せず、堆肥などの有機質肥料で土づくりを行った圃場で栽培した野菜のことで、日本においては「有機JAS」の認定を受けた生産者のみ「有機栽培」「有機野菜」「オーガニック」という言葉を謳うことが許されています。ただし、場合によっては農薬(有機JAS指定のもの)の使用を認めています。 また、堆肥についても現状では牛糞などの畜厩肥由来と、落ち葉や枯れ草などが主原料の植物性のものがあり、特に前者には様々な問題を指摘する声も上がっています。 有機栽培について詳しくはこちら >この言葉は栽培方法を指すのではなく、農薬使用の有無を表現したものに過ぎません。 先に挙げた有機栽培を無農薬で行った場合もそうですし、化学肥料を使用しながら農薬を使わずに栽培した野菜にも当てはまります。ただし、販売されている種には消毒を施された種が多く、また、購入した苗を使う場合も同様なので、そういった生産者は「栽培期間無農薬」と謳うこともあります。その言葉通り「化学肥料を使用していない」ということを示す文言です。 ということは、有機肥料を使用している、あるいは無肥料で栽培しているということになります。自然そのものが相手であるため、その多くは栽培技術が確立されている訳でも、完結したメソッドが存在する訳でもありません。基本的には農薬や肥料を使わず、できるだけ燃料を必要とする機械を使わずに、「自然にまかせて」「自然の力で」「自然を模した環境で」その土地に合ったやり方で栽培する漠然とした枠組みです。 自然栽培について詳しくはこちら > 身も蓋もない言い方にはなりますが、これらの栽培方法で育てられた野菜が慣行栽培の野菜に比べて実際に、確実に人体に好影響を与えているという“科学的な証拠”はありません。それぞれの体質によっても身体への影響が異なりますし、生活習慣や環境、嗜好によっても捉え方・感じ方の差異があり、その影響の善し悪しを一まとめに概することは困難です。 お客様からはしばしば「○○農園の○○栽培の野菜はエネルギーが満ちているようで美味しい!」というようなうれしいお言葉を頂戴することがあります。自然に近い環境の中で、甘やかされることなく元気いっぱいに育った野菜には、決して数値化したり科学的に論証できないけど、そういう目に見えない「エネルギー」のようなものが宿ることがあるのかもしれません。 一方、近年ではアレルギーやアトピーに苦しんでいらっしゃる方が多く、オーガニックや自然栽培の野菜をお求めになられる方々の中に、そういうお客様が多くいらっしゃるのも事実です。実際に症状が大きく改善した方も多くいらっしゃいます。 また「化学物質過敏症(*)」についても同様で、野菜や穀物に僅かに残留した特定の化学物質の影響で身体の調子を崩してしまわれる方の中にも、こうした野菜だと体調を崩すことなく美味しく食べられたという話はよく耳にします。 ただし、野菜に含まれるどの物質が身体に悪影響を与えるかについては人それぞれ異なります。オーガニック野菜を食べても反応が出てしまうのに減農薬の野菜には無反応、という方もいらっしゃるくらいです。 化学物質過敏症にとっては、その野菜を構成するすべてが化学物質になるわけです。ほうれん草に含まれる「シュウ酸」もその一つですし、ルッコラを食べてOAS(口腔アレルギー症候群)になる人も少なからずいます。これは、栽培方法に関わらずです。主に肥料過多により残留する硝酸態窒素などの問題もあります。 大切なのは“どの”化学物質が自身にアレルギー等の悪影響を及ぼしているかを知ろうとすることです。そのためには、自身の体のことを深く知り、自らが口にするものに興味を持つことが必要です。 「○○栽培だから安全安心!」と一括りにするのではなく、目の前にある野菜がどこから来て、それを育てた生産者がどういう人間でどういう栽培をしているのか、といったことに興味を持つことが、自分に合った野菜に巡り合う道筋なのです。 化学物質過敏症 化学物質過敏症(かがくぶっしつかびんしょう)とは、非常に微量の薬物や化学物質(主に揮発性有機化合物)の曝露によって健康被害が引き起こされるとする疾病概念。人体の薬物や化学物質に対する許容量を一定以上超えると引き起こされるとされており、個人差が大きいといわれる。化学物質の摂取許容量と同様に、発症原因および症状、その進行・回復速度や度合いも多種多様であるといわれる。 本態性環境不耐症とも呼ばれる。 - Wikipediaより -
固定種(在来種・エアルーム種)とは
2019/02/08
固定種(在来種・エアルーム種)とは
幾世代にもわたり栽培・採種を続けて遺伝的に形質が安定した品種のことです。自家採種した種から同様の形質を持つ植物を育てることが可能です。京野菜や加賀野菜など、各地で「伝統野菜」と呼ばれるものの多くは固定種で、土地に根差していることから「在来種」と呼ばれています。ただし、現在では伝統野菜と名の付くすべてが固定種(在来種)とは限らず、中には伝統品種の名前が付いたF1品種も存在しています。エアルーム種とは、日本でいうところの固定種や在来種になりますが、在来種が土地に根差したあものであるのに対して、エアルーム種は「○○家の○○トマト」のように人や家族単位で繋いできた種とも言えます。したがって同じ品種でも出所が違うので、味や形が違うことが多いのです。古くから農家は種を採り続け、大切に保管し、翌年に蒔くのが当たり前でした。そうやって各地で命をつないできた野菜や穀物たちが、今わたしたちが毎日欠かすことなく食べているものの礎になっているのです。農家にとってだけでなく、わたしたち全員にとって種は財産なのです。ところが現在は、少子化や過疎化の影響で農業従事者が減少し、農家の多くは担い手がなく、田畑に出ている多くの農家が高齢者というのが現状です。そんな人手不足の中、生育スピードが速くて形が揃うF1が主流を占めているのは無理からぬことかもしれません。 しかし、GM種子の登場により一部の企業に種の権利が独占されてしまうことが危惧される今こそ、自家採種を続けて種を「財産」として繋いでいくことの重要性が日に日に増しています。
有機栽培とは?
2019/01/11
有機栽培とは?
有機農家数は平成22年で1万2千戸となっており、総農家数の0.5%を占めている(推計値)。 有機農業の生産面積は平成21年で1万6千haとなっており、農業全体の0.4%を占めている(推計値)。 農林水産省ホームページよりこの数値は有機JASに認定されている農場のみを集計したものです。 この認定がなければ「有機栽培」「オーガニック」と表示することはできません。有機JASとは日本農林規格「Japanese Agricultural Standard」の略で、JAS法により規定されています。認定を受けるには「NPO法人 有機農業認証協会」に申請し、調査を受け、その定める規格に準拠しなければなりません。また、認定後にも毎年調査が入ります。 有機JAS認定を受けずに類似した栽培(農薬と化学肥料不使用)を実践する農家が少なからず存在しているのも事実ですが、それらは全体からすれば微々たるものに過ぎません。FiBL(スイスの有機農業研究機関)によると、世界的に見ると有機栽培の農家および農地面積は増加傾向にあります。イタリアの8.6%をはじめドイツ6.1%、イギリス4.0%、フランス3.6%とヨーロッパでは着実な増加傾向ですが、日本の0.2%という数字は欧米諸国どころか、同じアジアの韓国や中国よりも低い数字です。「化学的に合成された肥料や農薬の使用を避けることを基本として、多年生作物の場合は収穫前3年以上、その他の作物の場合は、播種又は植え付け前2年以上の間、堆肥などの有機質肥料により土づくりをおこなった圃場において生産された農産物」 とありますが、一方で 「農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合であって、耕種的防除、物理的防除、生物的防除またはこれらを適切に組み合わせた方法のみによっては、圃場における有害動植物を効果的に防除することができない場合」 このような状況に限って有機農産物にも農薬の使用を許可しています。 (使用できる農薬は機関によって定められています。)- 有機質肥料を使用 - 農薬はできるだけ不使用 - 有機JAS認定
1
お正月特集