
第五候 | 霞始靆 かすみはじめてたなびく (二月二十四日~二十九日頃)
春霞(はるがすみ)がたなびき 遠くに見える山や景色が ぼんやりかすんで見えるころ。
霞(かすみ)は水蒸気をたっぷり含んだ空気。 早春の雨で土が潤いを帯びるにつれて 空気中にも水分が満ちてきます。
寒さがゆるみ、 土や植物の放つどこか甘やかな香りを含んで、 ふっと優しい気持ちになりますね。
霞は、夜になると 「朧(おぼろ)」と呼ばれます。 同じ現象でも、時間帯によって名づけが変わる。 日本語の豊かさに心が嬉しくなります。
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春を司る女神といえば 「佐保姫」(さほひめ) 春は陰陽五行で東の方角を司ることから 奈良の東にある佐保山が その名の由来とされています。
さまざまな木々の芽が萌え出し、 山全体がふんわりとみえるさまは、
山は女神のまとう衣 山にかかる三日月は女神の簪(かんざし) 霞は衣の裾(すそ)ーー そんなふうに、たとえられてきました。
佐保姫は 「かたちあるにあらず、 天地の色を織り成すを仮に名づけたるなり」 江戸時代の歳時記『改正月令博物筌』より
つまり佐保姫とは それぞれが感じる春の光景そのもの。 名もなき山にも春の女神が宿っています。
花粉やPM2.5の霞は少々つらいところですが、 ふらりとお散歩して それぞれの佐保姫を探しに出掛けませんか。

