彼は長崎で食した
“ひと口” の最初の瞬間で
その「ピュアさに強く惹かれた」と
語ってくれた。
素材の個性を決して損なわず、
むしろ引き立てるような自然な旨味――
その印象が今でも鮮明に残っていると。
素材の輪郭を曇らせず、
調和しながら、
仕上がりの完成度を上げてくれる卵。
その感覚があるからこそ、
白寧のシグネチャーである
〈ミルクレープ〉の
生地とカスタードに、この卵を用いている。
ミルクレープはごく限られた素材で構成される
シンプルな菓子。
そのため、卵の持つ香りやコク、
質感が仕上がりを決定づける、という。
山野さんの卵を使用することで、
バニラの芳香や生クリームの自然な甘みを損なうことなく、それぞれの風味が調和しながらも輪郭を保つ、
理想的なバランスを実現できました。
と丁寧に語ってくれた。
昨今は卵そのものの
“風味の強さ”で主張するタイプも多い。
でも、山野さんの卵は、
ストレスのない飼育と無理のない餌づくりから
“穏やかで純度の高い味” が生まれている──と。
その言葉は
彼の中で今も鮮明だ。
〈林大シェフ 白寧hakunei/Hiroo Tokyo〉