
なによりも「本物だから」 と。 彼は、最初にこう力強く語ってくれた。
それは、 比べて良かったから選んだではなく、 選ぶ理由が先に “そこにあった” という言い方だった。
香りがクリアで、嫌みがなく、 鶏が無理なく過ごしている時間が そのまま “香りの質” に出ている、という。
生卵の状態でもわかるけれど ゆで卵にすると、その差がより鮮明になる。 足さなくても成立する “自立した味”。
一般的な量産卵は 、 風味はあっても “味わい” そのものが立っていない。 だから味付けが必要になる──と。
「食べればわかる」というのは 乱暴な言葉に聞こえるかもしれない。
でも、あえてそう言いたくなるくらい きちんと “味がある” 卵だ、と彼は言う。
そして最後に 「山野さんのまっすぐさが卵に息づいている」と 静かに、はっきり、言葉を残してくれた。
〈井上稔浩シェフ pesceco/Shimabara Nagasaki〉

彼は長崎で食した “ひと口” の最初の瞬間で その「ピュアさに強く惹かれた」と 語ってくれた。
素材の個性を決して損なわず、 むしろ引き立てるような自然な旨味―― その印象が今でも鮮明に残っていると。
素材の輪郭を曇らせず、 調和しながら、 仕上がりの完成度を上げてくれる卵。
その感覚があるからこそ、 白寧のシグネチャーである 〈ミルクレープ〉の 生地とカスタードに、この卵を用いている。
ミルクレープはごく限られた素材で構成される シンプルな菓子。 そのため、卵の持つ香りやコク、 質感が仕上がりを決定づける、という。
山野さんの卵を使用することで、 バニラの芳香や生クリームの自然な甘みを損なうことなく、それぞれの風味が調和しながらも輪郭を保つ、 理想的なバランスを実現できました。 と丁寧に語ってくれた。
昨今は卵そのものの “風味の強さ”で主張するタイプも多い。
でも、山野さんの卵は、 ストレスのない飼育と無理のない餌づくりから
“穏やかで純度の高い味” が生まれている──と。
その言葉は 彼の中で今も鮮明だ。
〈林大シェフ 白寧hakunei/Hiroo Tokyo〉

放牧鶏「暖鷄(はるどり)」の卵、itadakiは、
派手じゃない。
その代わり “料理の中で生きる” 卵だ。
それは 自立した味であると同時に、 素材を曇らせず 完成度をそっと底上げする存在。
そう語ってくれる方々がいる。
そのことが ただ静かに 心をあたためてくれている。
そして何より、 その声の根っこにあるのは 鶏たちの穏やかな暮らし “そのもの” だと思っている。
鶏たちに、ありがとう。 心から。
~Chefs’ Voice ~
–平飼い放牧卵itadaki–
🙏Thanks to @pesceco @hakunei_tokyo @dai_hayashi0321

