
小さな呼吸
卵は、静かに呼吸しています。 産まれたその瞬間から、殻の表面にある無数の「気孔」を通して、空気とわずかに触れ合いながら、内側の世界を保っています。
一個の卵には、およそ7,000もの小さな穴があり、そこを通して水分や二酸化炭素がゆっくりと出入りします。生き物として呼吸をしているわけではありませんが、殻の内と外では、確かにガス交換が行われています。その穏やかな営みが、卵の鮮度や味わいを支えています。
卵の丸いほうには「空気室」と呼ばれる小さな空間があります。ここは殻の内側で生まれた、外の空気とつながるための場所。保存する際は、尖った方を下に、空気室を上にすることで、卵の中の環境はより安定すると言われています。
いのちは、目に見えないところで静かに続いている。 卵は、その小さな呼吸を通して、私たちにそれをそっと教えてくれます。 手のひらに伝わる温もりの奥に、確かな時間の流れを感じながら、今日も食卓へと届けています。

