自然や鶏たちのリズムにゆだねると、
思い通りにならないことも多い。
それでも、
その流れごと大切にしたい。
卵は、
その先から生まれる尊い恵みだと思うのです。
そうして生まれた卵は、
日々の食卓にそっと寄り添い、
あたたかさを運んでくれると信じています。
卵よりも先に、
いつも、鶏たちの暮らしがある。
———
私が養鶏を始めたときから、ずっと大切にしているのは「結果」よりも「過程」です。
何個産めるか、どれだけ効率よく育てられるか。
そうした数字よりも、鶏たちがどんな一日を過ごしているか、
数字よりも、そちらの景色のほうを見つめてきました。
朝、放牧場の扉を開けると、鶏たちは一羽ずつ外へ出て、土をついばみ、草を食べ、
砂浴びをし、風や光の中でそれぞれの時間を過ごします。
雨の日も、寒い日も、暑い日も、その日の空気を全身で受け取りながら生きています。
もちろん、自然にゆだねるということは、安定しないということでもあります。
天候や季節、鶏の体調によって、産卵数が減ることもあります。
発送をお待たせしてしまうこともあります。
そんな時、申し訳なさと同時に、
「それでもこのやり方を選びたい」と思う自分がいます。
卵は目的ではなく、暮らしの先に生まれるもの。
鶏たちの一日一日があって、ようやくそっと手のひらに届く贈り物だと感じています。
その卵が、皆さんの食卓に並び、誰かの朝を支えたり、家族の会話を増やしたり、静かな幸せの時間をつくることができたなら、これ以上うれしいことはありません。
「卵よりも先に、鶏たちの暮らしがある。」
その当たり前を、これからも大切にしながら、
今日も放牧場で、鶏たちと同じリズムで一日を重ねていきます。
NaturalEggLab 山野暖尭