
「卵は、オスがいなくても産まれる」
前回の投稿では、 鶏の交尾=命をつなぐ一瞬をお話ししました。 その続きとして、産んでくれる卵のことを少し。
メスの鶏は、オスがいなくても卵を産みます。 なので、スーパーに並ぶ卵のほとんどは「無精卵」です。
なぜかというと、日本のほとんどの養鶏はケージ飼いで、 そこには卵を産まないオスは入れられていないからです。 効率よく管理し、安定して大量に卵を生産、流通させるため、メスだけで飼育されています。
うちの放牧場には、群れを守り、命をつなぐオスがいます。 その営みの中で産まれる卵は「有精卵」と呼ばれます。
有精卵だからといって、 栄養や味が特別に変わるわけではありません。 見た目も同じで、食べても違いはありません。
なので、「有精卵=体にいい」というイメージだけで選ぶ必要はありませんし、 むしろその言葉だけをありがたがるのは本質から外れていると私は思います。
私たちが大切にしているのは「有精卵」というラベルではありません。
「有精卵であること」そのものではありません。
求めていません。
大切にしているのは、
オスとメスが共に群れで暮らし、 自然な営みを続けられること。
その暮らしの延長線上に、 有精卵という結果があるにすぎません。
また、有精卵は条件が整えばヒヨコへと育つ可能性を秘めています。 一方で、温められなければ無精卵と同じように食卓にのぼります。
卵を毎日手にする暮らしの中で、 その違いを意識することは多くありません。 けれど私は、ときどき考えます。
いのちがつながる可能性を持った卵を、
“いただく” ということ。
食卓の上に並ぶ卵の奥には、 群れの営みや、鶏たちの時間が流れています。 その静けさに耳を澄ませると、 当たり前に割っている卵が、 少し違って見えてきます。
皆さんはどう感じていますか?
-放牧鶏「暖鷄」-
#暖鷄 #itadaki #harudori #naturalegglab

