
普段はあまり目にすることのない、鶏の交尾の姿。 卵の奥にある「命のはじまり」を、 この投稿で知っていただけたらと思います。
放牧場で日常的に見られる光景。 オスがメスの背に軽やかに飛び乗り、 羽ばたきで体を支えながら交尾します。
鶏には哺乳類のような交尾器はなく、 「総排泄孔(そうはいせつこう)」と呼ばれる おしりの様な部分を一瞬だけ合わせ、 その一瞬の触れ合いで精子が送り込まれます。
交尾の前には、オスが羽を下げてバタバタと広げ、 メスの周りを回る仕草を見せます。 これは自分をアピールし、相手を誘う行動。
メスはそれを受け入れるとき、お尻を下げて地面に座り込み、交尾の体勢をとります。
ただ、毎回この求愛行動があるわけではなく、 群れの空気感で伝わり合い、 メスがすっと受け入れてオスが乗ることも多くあります。
ほんの数秒の出来事。
こうした姿は、オスが群れにいるからこそ見られる営み。 卵はメスだけでも産むことができるため、 ほとんどの養鶏場ではオスは飼われていません。 なので、 この光景は一般にはほとんど知られることのないものです。
やがてオスは降り、 鶏たちは再び土をついばみ、砂を浴び、 何事もなかったかのように日常へ戻っていきます。
私たちが食卓でいただく卵は、
食べものでもあり、
命のはじまりでもある。
その奥には、こうした営みが確かに息づいています。
人が手を加えなくても、 自然のリズムの中で受け継がれていく命。
その一瞬を目にすると、 当たり前にいただいている卵の重みを改めて感じます。
お届けした目の前にあるその卵の奥に、 静かな営みと暮らしが流れていることを、 思い浮かべてもらえたら幸いです。
-放牧鶏「暖鷄」-

[English caption below]
「A Moment of Life’s Continuation」
It is a sight rarely seen: the mating of chickens. Within every egg lies the beginning of life.
Roosters jump lightly onto hens, balancing with their wings. They have no copulatory organ; instead, they briefly touch the cloaca and sperm is passed in just a few seconds.
Sometimes roosters display by lowering their wings and circling, but often the hen simply lowers herself, and he mounts swiftly.
Such a scene exists only when roosters live among the flock. Because hens can lay eggs without males, most farms do not keep roosters— which is why this moment is little known.
Behind the eggs delivered to your table, quiet lives and rhythms continue to flow.
🙏
