「殻が語る、季節のリズム」
今の時期は、 卵が少し割れやすく感じられることがあります。 それは、鶏たちの体の働きと夏の気候が重なっているからです。
まず卵は、 黄身を中心に白身が重なりながら形づくられます。 そしてそれを覆う殻は、鶏の体の中で半日以上かけて、 少しずつカルシウムが沈着しながら仕上がっていきます。
ところが暑い季節には、 体温を下げるために水をたくさん飲み、 卵が体を通るスピードも速まります。 そのため殻がじっくり厚みを増す時間が足りず、 やや薄めに仕上がりやすくなります。
そうした卵は、手にしたときにどこか “軽やか”に私は感じます。 指先に伝わるその感覚が、殻の薄さをそっと教えてくれます。
反対に冬は、代謝の流れがゆるやかになり、 殻はしっかりと厚みを増していきます。 手にのせたときに感じる“ずっしりとした重厚さ”は、 その季節の証でもあります。
卵の感触の違いもまた、 鶏たちが生きる季節のリズムを映しています。
その変化も、鶏たちと自然からの小さな贈りものとして 受け入れていただけたら幸いです。
-放牧鶏「暖鷄」-
2025.8.24 Instagram
