
私は、鶏たちに救われました。 あの時、鶏たちと出会ったことで、私は確かに救われたのです。 命に寄り添うことで、どれほど支えられてきたか、 それを言葉で語り尽くすことはできません。 その日々がなければ、今の私はここにいないと思います。
なぜこの暮らしを続けているのか。 なぜ卵を届けているのか。
その理由を探すとき、答えはいつも鶏たちの中にあります。 命を生む姿、生きるという姿を、 毎日間近で見せてもらうことで、 私は何度も心を整えられてきました。 その温かさに触れるたび、自然と謙虚になり、 生きることの意味を静かに見つめ直すのです。
鶏たちの営みは、私に「生きるとはなにか」を教えてくれます。 だからこそ、私は彼女たちの暮らしに寄り添いたい。 産ませるのではなく、産んでくれた卵を、そのままに。 その尊さを壊さず、次の食卓へと丁寧につなぎたい。
これは仕事である前に、 私自身がここに生きる理由です。
―放牧鶏「暖鷄」―

