
「静かな始まり」
やわらかな朝の光の中、あちこちで羽繕いをする子たちが目につきます。 ひんやりとした夜を越えたあとに訪れる、静かで落ち着いた時間。 澄みきった空気のなかで、羽を整える仕草が一日の始まりを告げるように重なっていきます。
この羽繕いは、安心していないと続かないといわれています。 過密な環境では、きっとこんな穏やかな朝を過ごすことはできないでしょう。 尾の付け根にある尾腺から油を取り、羽に塗り伸ばすその行為には、防水や保湿、さらには羽を守る抗菌作用があるとも伝えられています。
仲間同士で寄り添いながら、フェロモンの役割さえ担うその仕草は、生きるための本能そのもの。 ここではそれがごく自然に働き、調和の一部となっているように見えます。 必要のない環境では、この本能さえも薄れてしまうのかもしれません。
けれどもここでは、澄んだ朝の空気の中で、生きるための仕事が変わらず続いています。 その姿を目にするたび、命がもつ力の尊さに心を打たれずにはいられません。
-放牧鶏 暖鷄-

