

強い日差しの下、鶏たちは口を開け、脇を大きく広げて体にこもった熱を逃がしています。
わずかな風でも取り込もうとするその姿は、本能そのもの。 人があれこれと工夫を凝らす前に、彼らは自分の体ひとつで、この厳しい暑さを正面から受け止めています。
じりじりと照りつける日々が続く中でも、そこには「生きる」というただひたむきな力が、確かに息づいています。派手な動きがあるわけではなくとも、命の奥底から静かに湧き上がるエネルギー。 そのたしかな存在感に、私はいつも心を揺さぶられます。何も言わない鶏たちのたたずまいの中に、すべての答えがあるように思えてならないのです。
私たちが暮らす自然は、ときに厳しく、ときにやさしい顔を見せます。 季節の移ろいと共に、鶏たちはその両方を受け入れ、懸命に生きています。 その姿は、自然のリズムに寄り添いながら共に過ごすことの意味を、静かに教えてくれているようです。
この夏もまた、私たちが自然の歩みに心を重ね、鶏たちと共に乗り越えていけますようにと願っています。
―放牧鶏「暖鷄」―
