
夏の日課
毎朝、草を刈って届けるのが、最近の日課です。
まだ朝の光がやわらかいうちに、放牧場のそばで、鶏たちの好きな草を選んで刈りとります。 束ねた草を抱えて歩いていくと、緑の香りに誘われて、鶏たちは一斉に駆け寄ってきて、夢中でついばみはじめます。
その姿を眺めていると、不思議とこちらの気持ちまでやわらかくほぐれていくのです。
暑さが厳しくなるにつれて、ここ数日、産卵数がぐっと減ってきました。 でもそれは、無理をせず、季節に合わせて体が整っていこうとする自然な変化のようにも感じます。 人間だって、暑い日には思うように動けなくなるのだから、鶏たちだって同じ。 この気候のなかで、いま必要なエネルギーのかたちを、自分たちなりに見極めているのかもしれません。
草に含まれるビタミンやミネラル、水分は、そんな夏を乗り越えるための自然からのおすそわけ。 草をついばむという本来の行動は、鶏たちのこころを整える時間にもなっているようです。
草を探し、選び、ついばむ。 ただそれだけのことが、とても大切な朝の時間なのです。
— 放牧鶏「暖鷄」 —

