神奈川県小田原市の久野で農薬と化学肥料を使わずにお米と野菜を育てています
私たちの田んぼと畑は小田原市久野というところにあります。 お米は、相模湾と箱根外輪山と神社の森を眺め、久野川の流れが聞こえる棚田。 野菜は久野、諏訪の原と舟原の高台にある、日当たり・風通し抜群の畑で。 それぞれ農薬も化学肥料も使わない栽培をしています。
田んぼは、冬の緑肥で地力をつけ、肥料に頼りません。 化学肥料を使わない田んぼは、慣行農法の田んぼより葉色が濃く、いきいきとしています。 大きな苗を育て、耕種的方法で田んぼ雑草を克服し、除草剤は必要ありません。 農薬も使わないので、虫を食べるカエルやトンボ、クモがたくさん住んでいます。そのため、特定の虫が増えたりはしないので害虫の被害は殆どありません。 収穫はバインダーで行い、稲架がけで天日干しの贅沢な作り方です。
畑では、自分の食べたい野菜を作っています。 ただ、露地でその野菜に一番適した時期に作りますので、冬にキュウリ、真夏にブロッコリー、といった野菜はありません。 地場の野菜の走り、旬、名残りを一緒に楽しんでいただけるといいなと思っています。 試行錯誤中ですが、微生物や菌と植物の連携を生かした健全な畑づくりを目指しています。 徐々に土が良くなるのを実感しながら日々の世話をしていますが、あっという間に生える草とどう付き合っていくかが難しいところです。
無農薬のお米を探していたことをきっかけに農業の世界へ
私は農学部を卒業したのですが、農業をしようとは思っていませんでした。 非農家が農地を簡単に借りることができるような時代ではなかったのです。 以前は港区の社宅に住んでいましたが、子どもが小さいうちに庭で野菜づくりのできる家に住みたいと、2004年に夫が新幹線通勤ができる小田原に移住! もともと食への関心があり、お米屋さんで無農薬のお米を買っていたのですが、お米を作ってみたいことを伝えるとあしがら農の会を紹介してもらうことが出来ました。 あしがら農の会は、農薬化学肥料を使わず自給農を目指している団体で、50代60代のメンバーを中心に子育て世代も多く参加してグループでお米を作ったり大豆・味噌を作ったりしています。 2010年から田んぼグループに参加しお米を自給することができました。 そのうち、だんだんと農業をやめる方が増えてきたこともあって農地を借りることになり、2017年ついに自分の農業を始めることになりました。 今は会のグループには参加していないのですが、ゆるく繋がって、お互い頑張っていきたいと思っています。
地域循環も目指して、自分たちの農業を挑戦し続けます
就農してから2023年現在で6年目、まだまだ迷いながら続けています。 最初から農薬や化学肥料を使うことは考えていませんでした。 化学肥料や農薬が絶対悪だとは言いませんが、食の安全は当然のことと考えており、自分で作って自分で食べるものだから使わないというのは自然なのかなと思っています。 有機農業や自然農やいろいろな言い方はありますが農法はほんとうに人それぞれ。 化学合成された農薬や肥料ははっきりしていますが、それ以外のもの、自然界に存在するものは全て安全かといえばそうではないですし、無肥料というのもどこまでを肥料というのかなど、定義からしてあやふやです。 だからこそより良くするにはどうすれば良いかをいつも考えています。 私が農業をするのは安心な野菜を作ることはもちろん、地域循環も目指しています。 農薬を使わないのは健康よりも環境への思いの方が強いかもしれません。
今は夫がまだ会社勤めをしているため、基本的には一人で農作業をしています。 週末は夫がトラクターなど手伝ってくれていますが、あと数年で退職するので一緒にもっといろいろなことをしていきたいと農業への挑戦や楽しみは尽きません。 これからはハウスを建てて、露地だけでは難しい時期も野菜が作れるようにしたいと考えています。 悩みながらも挑戦をして、農薬や化学肥料を使わないで作られたお米や野菜を求めるお客さんにお届けしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。