2021/06/22
海苔の漁期がはじまるのは十月。
そこから翌年の三月まで、一年のやってきたことの総決算をむかえます。
せのお水産では、従来の「スサビノリ」と、近年養殖に成功した「養殖岩のり」を生産しています。
この2種類の海苔は、生育時期が約一ヶ月ほどずれています。
そのため、一番忙しい時期には、2種類の海苔の作業工程が重なり、種付けや加工などの作業を同時並行することもあります。
漁期はその年の気候によって変動し、早い時期には一ヶ月間しか収穫できない年もあり、また3月ギリギリまで収穫をする年もあります。
3月には終了しますが、そこからは次年度に向けての準備が始まります。
せのお水産では1年を通して、常に海苔のことを考えています。

毎年5月ごろから、9月から始まる海苔養殖に向けて、準備を始めます。
冬の種付けに向けて準備が始まります。
まずは海苔網洗い。丁寧に洗って外で干します。
この期間は、漁業(鯛網漁)も行っています。

網の破れの補修などを行います。
海苔の漁期のための道具などを準備します。

点付け作業に始まり、育苗、単張り、収穫まで。自然状況を見ながら、海苔と対話する毎日が始まります。
海苔の胞子(種)は、20~30ミクロンほどの大きさで、普段はカキ殻の層の間に潜んでいます。
日照時間、水温などの条件をそろえ、水槽の中に胞子を放出し、回転する水車に網を巻き、胞子を付着させます。
この時まだ網は真っ白で、海苔は肉眼では全く見えません。
採苗した網は、冷凍保存し、水温などの条件がそろうのを待ちます。(※1ミクロン=1000分の1ミリメートル)

水温が21℃以下になったら、20枚ほど重ねた網を海上に出し、のり芽を大きく育てます。
海苔は比較的乾燥に強いため、人工的に網を海面から上げたり下げたりすることで、海苔以外のケイ藻類が育つたないようにしていきます。
この作業を「人工干出」といい、毎朝6時ごろから9時ごろまで海に出ます。

育苗した網は、再度冷凍保存します。
水温が18℃以下になったら、今度は網を1枚ずつ海上に出します。
約3週間ほどで収穫できるくらいに育ちます。毎年およそ2000枚の網を張っています。

刈り取りは早朝から行い、網に伸びた海苔を「もぐり船」と呼ばれる専用の船で刈り取ります。
最初に摘んだ海苔はやわらかい初摘みとして珍重されます。
色艶もよく、とろけるような味わいが特徴で、せのお水産ではこの初摘みの海苔を使用して、オリジナル商品を作っています。
11月からは伸びては刈るの繰り返しです。
12月で終了する年や、3月ギリギリまで生産した年もあり、人の手を尽くして最後は自然にゆだねるしかありません。

美味しい海苔を、美味しい状態で、皆様にお届けするために加工から検出、出荷まで、丁寧に行います。
収穫した岩のりは、摘んだ海苔をそのままの形で乾燥させます。そのため岩のり本体の旨味や香りがそのままぎゅっと凝縮されます。
異物がないかを入念にチェックして、検品・出荷にうつります。



収穫した生海苔は、船からそのまま港近くにある加工場に送られます。ミンチ状に細かく切った後、真水で洗い、機械で抄き、脱水・乾燥・剥ぎという工程を行い、みなさまにおなじみの板海苔になります。
海苔を収穫する11月から3月の間は、加工場が24時間フル稼働しています。



形状異物選別機で板海苔をチェックし、異物がないかを確認します。
検査を取ってやっと海苔が完成です。
100枚ずつ束ねられた板海苔は、箱詰めして協同販売所に出荷します。


漁期の終わりに差し掛かると、昨年度の反省を踏まえながら次年度に向けての種の選別を行います。
年によって変わる環境の変化をある程度予測しながら、次年度の方向性を決定します。

3月末には養殖の設備を完全撤去します。その年の自然条件によって、漁期は毎年変動するので3月ギリギリまで収穫を行う年もあります。

岡山県笠岡市の前海は潮の流れ(紀伊水道と豊後水道)がぶつかり合う位置で、瀬戸内海のちょうど真ん中あたり。
「せのお水産」は、笠岡で三代続く海苔師です。
昔は海苔作りで盛んな笠岡沖も、近年の自然環境の変化により養殖が難しくなっています。
しかし海苔作りは海を豊かにする環境産業である、との思いで海苔作りを続けています。
海苔は海域を浄化します。
海苔の食べ物は生物・動植物から分解された、窒素・リン・ケイ素などの栄養塩です。川や雨をつたって陸から海に流れてきたこれらの栄養塩を海苔や海藻はたくさん吸収して育ちます。そして光合成を行い二酸化炭素を酸素に変えていき海域を浄化、温暖化防止に貢献しています。
また「せのお水産」では、高水温でも養殖することができる岩海苔種に着目し、10年以上かけて笠岡の海でも養殖できるよう研究を重ね、現在では安定生産できるようになりました。
本当に美味しくて、安心安全な海苔を多くの方に食べてもらいたく、岡山県内では唯一自社だけが種付け作業からスタートし養殖・加工・販売まで行っています。笠岡の海に合った海苔の品種を選び、種付けは冷水機など人工的なものを取り入れず、できる限り自然に近い環境を整えて養殖をしています。
海苔の味や品質、養殖方法へのこだわりだけでなく、海を守る事への情熱を注いだせのお水産の海苔を1人でも多くの方に味わっていただき、健康を保つためのお手伝いをしたい。それが私たちの願いです。






