発酵をいかした体に美味しい糀調味料を作っています
鹿児島県霧島で和食の料理人として日々料理に向き合いながら、米糀を使用した糀調味料を製造しています。 味噌、醤油、酒、みりん、酢… 和食の調味料は全て米糀による発酵から生産されています。
お米と糀による発酵の際に生成される栄養価や旨味、香りを、現代に寄り添った摂取法として伝え残したい想いで取り組んでいます。
商品の主役となるのは霧島JAS認定の有機米、伊佐産特別栽培米、無農薬米糀からつくった糀甘酒です。 ベースとなる素材はすべて、自分自身が日々の料理に使いたいと思える原材料ばかりを選びました。
うるち米は「肥後さん」の霧島JAS認定の有機米と「小北さん」の伊佐特別栽培米。 米糀には「ほたる醸造」さんの無農薬米を使用。 黒酢は霧島市福山町、黒酢の郷「桷志田」さんの三年熟成有機黒酢。 醤油は九州産小麦と大豆による天然醸造、「松合食品」さん。 純米酢、塩、米油にいたるまですべて国産を使用。
また、本事業である糀調味料、原材料のひとつである霧島無農薬ローゼル(ハイビスカスの一種)は就労支援施設と協働で製造しています。 地元の農家さんや醸造元、そして就労支援施設の皆さんとのご縁をいただき、生産されています。
製造も施設の利用者さんと一緒に寄り添いながら製造しています。 自分たちで育てた作物(ローゼル)を加工し、商品になるという経験が日々の作業のやりがいとなり、ご家族の喜びにもつながり、それが私どもの喜びにもつながっています。
少量生産にはなりますが、素材の力と発酵により作られ、体に美味しい糀調味料をぜひ多くの方に味わっていただけたらと思います。

健康を意識し始めた40代、和食の現場からたどり着いた発酵の奥深さ
私は和食の料理人として30年。 もともとは健康や食に対して特別なこだわりがあったわけではありません。 年齢を重ねると共に自分と家族との関わりを通じ、自然と食に対する意識が高まっていきました。
特に「発酵」に興味を持ち、和食の調味料を学び直したことがきっかけです。 味噌や醤油など、日々当たり前のように使っていた調味料が、発酵という過程を経て、芳醇な香りや旨みを生み出している… 何よりもお米と米糀の発酵により生成される栄養素が、日本人にとって最も効率の良い栄養源なのだと。 その仕組みに触れるうちに、もっと深く知りたいと思うようになりました。
糀甘酒は、そんな学びの中で出会った最も優れた栄養価を持つ糀調味料のひとつです。 甘酒は“飲む点滴”、”飲む美容液”とも言われるほど350種以上の栄養素をもち、現在でも日々解明が進められているスーパーフードな発酵食品であります。 そのまま飲むには苦手な方が多いですが、料理に応用できる魅力があり、そこから「糀をもっと日常に取り入れやすい形で届けたい」と考えるようになりました。
ちょうどその頃、日本食学会の霧島視察があり、「日本有数の種麹屋」さん、「世界に誇る黒酢の郷」、「農福連携により生産される無農薬ローゼル」を案内する機会をいただきました。
「この3つの素材を使って何か加工品ができないか?」というお話をいただき、試作を重ねて生まれたのが、現在の糀甘酒ドレッシング「ローゼルと黒酢」です。 その後、糀甘酒のポテンシャルを最大限引き出し、味のバランスの微調整、無添加による菌の繁殖を抑制する過程を重ね重ね繰り返し、現在の商品となりました。
原料と味のバランスには特にこだわり、甘酒の濃度と糖度、酸味・塩味・風味の調和がとれたまろやかでもろみによるとろみのあるドレッシングに仕上げています。
体にも心にもやさしく、美味しい、そんな味わいをお届けいたします。

糀の魅力をもっと気軽に、地域とともに繋げる発酵のある暮らしを目指して
今後は糀甘酒ドレッシングに加え、他の糀調味料や地域の特産素材を活かした新たな加工品づくりにも取り組んでいきたいと考えています。
糀は日本の食文化の礎であり、奥深く、体にやさしく、人生100年時代の日々の暮らしを根底から支えてくれる存在です。 その魅力を、もっと気軽に、もっと自然に取り入れてもらえるような提案を続けていきたいと思っています。
現在も、就労支援施設の利用者さんと一緒に製造を進めていますが、この連携は単なる協力関係ではなく、「共につくる仲間」としての大切なつながりだと感じています。 自分たちで育てたローゼルが加工にも関わり、商品となり、皆さまの食卓に届くという喜びは作業のやりがいや生きがいに繋がっているように感じます。 この関係をもっと深め、無理のない形で継続していけるよう時間をかけ、コミュニケーションを大切にし、一緒に成長しながら製造業の未来、地域活性にも繋げていきたいと思います。
また、将来的には小さな店舗を開くことを目標にしています。 糀調味料や発酵、お米をテーマにしたお店とし、料理やスイーツ、ドリンク等、実際に味わっていただける場であり、持ち帰れる場でもあり、ご家庭での「自炊」に取り入れてもらいたいとも思っています。
忙しい日常の中でも、ふと立ち寄れば、体が喜び、頭が安らぎ、心身が目覚めるようなごはんが食べられる… そんな場所があれば自炊を頑張ってみようかな?、発酵食品を取り入れてみようかな?、と感じてもらえるきっかけになるのではと思います。
糀のある暮らしを通じ、自分自身や家族の健康を見つめ直すきっかけになったように、誰かの毎日にも小さな変化や気づきが生まれるきっかけとなれたら、それをとても嬉しく思います。

