300年の伝統を受け継ぐ、国産小麦100%・無添加の半田そうめん製麺所
徳島県つるぎ町で、約300年の伝統を誇る特産の半田そうめんを製造している「八千代麺業」です。 一度倒産した製麺所を買い取り、2020年に新たなスタートを切りました。 国産原材料100%、無添加にこだわり、障がい者雇用を通じて地域と共に歩めるような製麺所を目指して、半田そうめんの魅力を全国へお届けしています。
半田そうめんは、通常のそうめんよりも太く、強いコシと小麦の豊かな香りが特徴です。 西日本では広く知られていますが、全国的にはまだまだこれから。 関東の展示会では、バイヤーの方でも9割が知らないという状況です。 でも一度食べていただくと「そうめんの概念が変わった」という嬉しいお声をたくさんいただきます。

また、私たちは国産原材料100%、無添加にこだわっています。 扱いやすい外国産小麦を選ぶ業者が多い中、あえて国産にこだわるのは、お客様に安心して召し上がっていただきたいからです。 国産小麦は粘りが出やすく製造が難しいのですが、スタッフが協力しながら試行錯誤を重ね、この味を実現しています。

伝統産業を守りたい。地元で慕われる製麺所の倒産から立ち上がった想い
代表の森は、徳島で高齢者介護の仕事をした後、淡路島に11年間暮らし、障がい者の就労支援事業に関わっていました。 様々な事情が重なり徳島に戻ってきた際、八千代麺業の前身である半田そうめんの製麺所「八千代」が倒産したことを知りました。
日本の伝統産業は後継者不足に悩まされています。 一方で、障がいのある方や子育て中の方など、「働きたいけれど働く場所がない」という方もたくさんいらっしゃいます。 この二つを結びつけることで、伝統産業を守りながら、働きたい人たちに活躍の場を提供できるのではないか——そんな想いから、半田そうめんの製造を引き継ぐ決意をしました。
周りからは「赤字で倒産した会社を引き継ぐなんて変態だ」と言われましたが、やる前から諦めたくはありませんでした。 地元の銀行の支店長が「これは面白い、応援したい」と言ってくれて、融資をしてくださったことも大きな支えに。 しかし、再建の道のりは決して平坦ではありませんでした。 元々の卸先に復活の案内をしても棚が埋まっていて取引が戻らず、ファンだった方々も高齢でネットが使えない方が多く、情報が伝わるのに時間がかかりました。 製造設備はあり、同じものは作れるのに、販売先がない。 一から販路を開拓していく必要があり、半年ほど経った頃には「もう無理かもしれない」と思った時もありました。
それでも諦めなかったのは、食への想いがあったからです。 淡路島にいた際、子どもが生まれて食への意識が変わりました。 ある農家さんが自分の家族用の畑は農薬を使わず、出荷用の畑には農薬をたくさん使っているという現実を目の当たりにして、疑問を抱きました。 一方で、有機栽培にこだわって頑張っている農家さんが正当に評価されない現状も知りました。
作り手の想いやこだわりをちゃんと消費者の方に伝える必要があると感じ、「食べる通信」にジョインして「淡路島食べる通信」を発行したこともあります。 生産者と消費者を繋ぐ大切さをずっと感じてきました。
半田そうめんを引き継いだ時も、誰が作ったか分からない原材料ではなく、作り手の想いやストーリーがある原材料を使いたいと思いました。 そうして作り手の想いに共感したものを仕入れ、私たちの想いも乗せて「こういう意味でできているんですよ」という形で伝えていきたいと考えています。
また、日本の食品表示はとても分かりにくく、例えば「小麦(国内製造)」を国産小麦と勘違いしている方も少なくありません。 外国産がダメだとか、国産を絶対食べてくださいと押し付けるつもりはありません。 ただ、ちゃんとした情報を提供し、自分の価値観にあったものを選んでいただく選択肢を提供したいのです。 少しずつつながりが増え、いろんな方に助けてもらいながら、ようやく方向が見えてきました。

次世代へつなぐ。地域と共に歩む半田そうめんの未来
私たちは、持続的に利益を出しながら、働く人たちをしっかり評価していける製麺所を目指しています。 障がい者雇用を通じて、誰もが活躍できる場を作り、地域に根ざした事業として成長していきたいと考えています。
淡路島で障がい者就労支援の事業を立ち上げた時、障がいのある方々と実際に一緒に働いてみて、何ら私たちと変わりないと感じました。 その人に合った仕事があれば、活躍できる方はたくさんいるのに、それがちゃんと評価されていない現状があります。 だからこそ、好事例を作らなければいけないと思っていました。
半田そうめんの話があった時、製麺業も同じように労働者不足・後継者不足という問題を抱えていて、地元には仕事がない障がい者の方がたくさんいることを知りました。 伝統産業の半田そうめんを引き継げるという魅力もありましたが、この伝統産業の中でそういった方たちが働ける形を将来作れるのではないかという想いも、引き継ぐ決意をした大きな理由です。
今はまず事業を持続可能にすることに注力しています。 ちゃんと利益が出ないと、そういった方々を正当に評価し続けることができないからです。 事業がある程度形になれば、次にそういった方たちが働ける仕組みづくりに取りかかろうと想定しながら動いています。

半田そうめんは、徳島県では夏場に毎日食べるほど親しまれています。 食べすぎて一度嫌いになる人も結構いるのですが、大人になってもう一度食べ始めると「やっぱり美味しい」と戻ってくる方が多いんです。 まだまだ全国的には知られていない半田そうめんの魅力を、実際に召し上がっていただくことで、もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。
私たちの想いや製法へのこだわりに共感してくださる方々とつながり、安心して召し上がっていただける半田そうめんをお届けしていきます。 300年続く伝統を次の世代へつなぎ、地域と未来への貢献を続けながら、日本の食文化を守り続けていきたいです。

