ナチュレストファームについて

浜松の障害者就労支援施設で、自然栽培の野菜を育てています

ナチュレストファームは、 静岡県浜松市で農薬や化学肥料を一切使わない 「自然栽培」を実践する農園です。 私たちは、NPO法人スマイルベリーが運営する 福祉施設の一環として、利用者の皆さんと一緒に 畑仕事に取り組んでいます。 2021年に自然栽培を始め、現在は5年目を迎えています。

農薬を使わないことで、 私たち職員も安心して作業ができ、 化学肥料を使わないシンプルな栽培は 伝えやすく学びやすいという利点があります。

農業の良さは、多様な作業を一年を通して用意できる点にあります。 これは障がい者の就労支援にとって非常に適した仕事です。 さらに、自然栽培は農業を専門的に学んでいない人でも実験的に始めやすく、職員にとっても取り組みやすい方法です。

私たちは「農福連携×自然栽培」が、これからの日本を支える理想的な形の一つだと信じています。 畑には多くの生き物が集い、命が輝く場となります。

私たちが育てた野菜を食べる人々が 安心しておいしく味わえること、 そのどの方向から見ても喜びを感じられることが、何よりの幸せです。

また、障がいがあるというだけで社会に 馴染みにくい人たちが生活に欠かせない野菜を、 自然栽培で育てる姿はとても誇らしいものです。 ひとりでできないことは二人、三人で協力すればよい。人数をかけられることが私たちの強みであり、それこそが美味しい野菜づくりの秘訣だと日々実感しています。

福祉と農業をつなぐ、自然栽培への道

NPO法人スマイルベリーでは、 福祉施設の一環として自然栽培に取り組んでいます。 利用者の皆さんと一緒に、 農薬や化学肥料を一切使わない農業を実践しながら、 固定種・在来種の野菜を育てています。

農業部門を始めたきっかけは、 持続可能な農業への関心からでした。 種も肥料も買わずに続けられる自然栽培なら、 環境にも優しく利用者の皆さんと、 長く取り組んでいける。 そう考えて、この道を選びました。

野菜を育てることは、 人を育てることに少し似ています。

肥料も農薬も使わず、 土の力と、太陽と、雨を信じて育てる自然栽培。 早く大きくはならないけれど、 その分、根は深く、味はまっすぐになる。

この畑では、 さまざまな障がいを持った仲間たちと一緒に、 同じリズムで土に触れ、 同じ目線で野菜の成長を喜びます。

「できる・できない」ではなく、 「一緒にやってみる」こと。 失敗も、遠回りも、全部が力になる。

土本来の力を引き出す自然栽培は、 人の中にある力も、そっと引き出してくれる。

野菜が育つと、 人の表情が変わる。 人が育つと、 畑の空気も変わる。

福祉と農業をつなぐこの道は、 安心でおいしい野菜を届けるだけじゃない。 「誰もが役割を持って生きられる場所」を、 この畑から、少しずつ広げていきます。

農業担当者の思い

ナチュレストファームの中心を担う私伊熊は、 教育の現場を経て農業、 そして福祉の世界に飛び込んだ一人です。

自然栽培との出会いをきっかけに、 毎日畑に立ち野菜の成長を見守りながら、 利用者の皆さんと共に土づくりに励んでいます。

朝はしわしわだった葉が昼にはシャキッとしていたり、日々の写真を見比べると確かに成長している姿に気づいたり。 野菜たちが生きているんだなと感じる瞬間が、何よりの喜びです。

私個人としては、各家庭で自分たちが食べる分の野菜を育てる人が増えてほしいと考えています。 私の農業への願いは、昔の日本で当たり前だった、種を受け継ぐ文化を取り戻すことです。

昔の日本では、 嫁入りの時にそのお家で育てられてきた大事な種を持っていくという話を聞いたことがあります。

各家庭それぞれに代々育てられてきたお野菜があって、その家庭好みのお野菜があったと聞いたことがあり、 そういう日本を取り戻したいなと思っています。

農家さんが農薬や肥料を使ってしまうのは、 大規模でやらないといけないから そうなっているだけで、 個人で畑をやるなら肥料も農薬も使わなくても 簡単にお野菜はできるんだなと、 今実感しています。

自分たちが食べる分を育てる人が増えれば、 それは必然的に肥料も農薬もいらない世界に繋がるのではないかと考えています。

種取りについても、実際には置いておくだけで、 家庭で使う分であれば簡単にできます。

種屋さんとして販売するほどのクオリティを 維持するには選抜などが必要で難しくなりますが、 家庭でちょっと混ざったものを自分たちで 食べるのであれば、全然問題なく簡単にできます。 種を1つ生めばいくらでも種は取れますから。

私は自然の力を信じ、野菜と向き合いながら、種を繋ぐ農業を続けていきたいと思っています。

福祉と農業、そして未来への想い

ナチュレストファームの展望は、 福祉と農業を結びつけながら、 利用者の皆さんの可能性を最大限に引き出すことです。

私たちの目標は、福祉施設の利用者さんたちが、 トラクターの操作から経営まで全てを こなせるようになり、 農業チームとして独立することです。

現在、畑で育てた野菜の売上から工賃としてお給料をお支払いしていますが、正直なところ、その金額はまだ十分とは言えません。 同じように働き、畑仕事の能力を持っているのに、わずかな工賃しか得られないという現状には、疑問を感じています。 職員1人が担う仕事を利用者さん5人、6人で こなせるようになれば、その力を掛け合わせて、 農業チームとして独立できる未来を描いています。

利用者の皆さんが、 農業を通じて自立し、正当な対価を得られる。そんな社会を実現することが、私たちの願いです。

また、持続可能な生産、環境への配慮として、 私たちが大切にしていることのひとつが肥料を使わないという信念があります。

有機肥料であっても、土中で分解される過程で一酸化二窒素(N₂O)という温室効果ガスが発生します。

肥料を使わないという選択そのものが、環境負荷を減らし、持続可能な農業への一歩だと考えています。

作物保護のために使用しているビニールマルチについては、必ず回収し、畑に残さないことを徹底しています。

さらに、自家採種(種取り)にも取り組んでおり、外部に依存しない、持続可能な「食」の循環にもつながっています。